<気にする必要ある?>
ミエは先ほどモ・ジンソプから言われた言葉を聞いて、目を丸くした。
キム・チョルのミエに対する態度はどう見ても「特別」だと・・・。
「特別?キ・・キム・チョルが私を?」
チョルはそのまま逃げ出し、女子たちは怒りながら彼を追った。
見かねたジンソプがそちらに走る。
「あーあーあいつ・・あれなんとかしなきゃな」「ねぇ!話は最後まで・・」
「じゃーねー」
そう言ってモ・ジンソプは行ってしまった。
チョルに怒る女子たちの「謝ってよ!大魔王なら何してもいいってわけ?!」と言う声が聞こえている。
「はい、はい、みなさん終わりでーす!」
先生のがそう言ったので、皆自由に動き出した。
ミエはモヤモヤしたまま、心の中でモ・ジンソプに対して毒づく。
そこでミエは気づいた。
モ・ジンソプの言うことが信用できないなら、ユンヒたちに聞けばいいじゃん!と。
「大魔王が追いかけられてんの見た?おっかしかったぁ、マジで爆笑だったわ」
「ユンヒユンヒ!」「ん?」
「あのさ〜キム・チョルって、私のこと特別に扱ってるように見える?ま、ちょっとは仲良いけどさ」
するとユンヒは、さも当然のことのようにこう言った。
「え?何よ今更。今気づいたの?
あの人、あんたのこと好きなんでしょ」
えっ
えっ???
ミエの頭は突然の新事実についていけず固まった。
ユンヒは笑いながら向こうを指差す。
「あれ見てよー面白いから!大魔王追いかけられてるw」
「あ、もう終わってる。珍事件だったのに」
ようやく女子たちの追及が終わったらしい。
げっそりとしたチョルの後ろで、ジンソプが「慰めてあげよっか」とフォローしているのが見える。
バチッ、と目が合った。
自分のことを「特別」だと思っているらしい、キム・チョルと。
ミエは咄嗟に目を逸らした。
何事もなかったかのように、口笛を吹いて後ろを向く。
男子たちが、「なぁ大丈夫?何があったんだよ」とチョルに聞いているのが聞こえる。
なんだか胸がザワザワした。
ミエは目を逸らし続けながら、そのザワザワを持て余す・・・。
<そうじゃないのに>
家に帰ったミエは、ベッドに寝っ転がりながら色々と考えていた。
ベ・ホンギュが言った言葉を思い出す。
「愛し合っちゃってんの?」
その直後、二人で同時にこう言った。
「なんでこいつと!!」
チョルは友達。友達のはずだ。
そのはずなのに・・・。
先ほどユンヒから「キムチョルはミエのことが好きだと思う」と言われた後のことを思い出した。
「ちょっとちょっと〜」
「何言ってんのさ〜からかわないでよ」
冗談だよ、と言われると思っていた。
しかしユンヒは、真面目な顔をして言う。
「いやそんなつもりで言ったんじゃないし。本気で言ってるけど」
ユンヒが「だよね?」とチヘとチソンに聞く。
二人も当然の如くうなづいた。
「何言ってんのさ!好きってなによ好きって・・・」
「いや、見てればすぐ分かるけど?」
まるで追い詰められているような気分だった。
ユンヒたちはジリジリとミエを囲む。
「ねぇファン・ミエ」「な、何?」
「でもあいつはハッキリ言ったんだよ?!」
「なんでこいつと!!」と・・。
いやなんで私が?
なんでこんなに気にしているのか、だんだん分からなくなってきた。
けれどユンヒはミエの言う「根拠」を信じることなく、諭すようにこう言った。
「とにかく!そんな否定しないで、私たちの言葉を信じなさいって!」
「そうそう!」
「私は100%確信してるから!!
第七十九話④でした。
そんな・・!チョル→ミエはそんなにあからさまなの!?
周知の事実だったなんて・・本人さえまだはっきりと自覚してなさそうなのに・・
結構衝撃でした。
さてここからミエが意識していくターンですね!!楽しみです
第七十九話⑤に続きます