青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第六十九話⑤

2022-10-10 | 第六十七話〜第六十九話

こそっ

キム・チョルが自販機でジュースを買っている姿を、ミエはガラス戸に隠れながら見ていた。

ようやくこの時がやって来たのだ。

ふふふふふふ・・

観客はベ・ホンギュ、そしてパク・ジョンウク。

この子らは大丈夫っしょ

むしろいてくれた方が良い!

このショーに必要なギャラリーも揃った。

ミエは今一度チョルの方を見る。

ふと、心臓が鳴った。

ドクン

けれどミエは、それをこの後始まるショーへの興奮だと解釈した。

心臓もワクワクドキドキしちゃってる

あれをからかわずにはいられないっしょ!

この機会を逃したら、きっと一生後悔するっ!

深呼吸して、カウントダウン!

「いち〜、にの〜」

「さんっ!!」

勢いよく飛び出したミエ。

するといきなり、目の前に赤い缶が現れた。

「コーラ!」

なんと、チョルの方が一枚上手であった。

コーラでミエを釣り上げたのだ。

「コーラ!ちょうだい!なに?なんなの!?」

「何やってんの!?私で遊んでんの?!」

「おい、お前」

そしてチョルは、ミエに聞きたいことを口にした。

「俺に何か言いたいことがあんだろ?」
 

なんとミエにとっては、チャンスが向こうからやって来たようなものだ。

ミエは意気揚々とチョルの方を指差して言った。

「そう!!私見たんだから!あんたが・・」

「私を・・」

「私を・・」

あと一息のところで、ミエは口を濁した。

この二人は大丈夫・・この二人は・・

そう何度も確認しながら、チラチラとホンギュとジョンウクを見る。

そして・・

 

真っ直ぐ見上げた先にいるチョルは、

彼もまた、真っ直ぐにミエのことを見ていた。

文具店で聞いた、あの声が再び蘇る。

「愛する・・ミエ」

照れるでもなく、嫌がるでもなく、真っ直ぐにそれを口にしていたとしたら。

そのビー玉のような瞳に映った自分が、目を丸くする。

それきり黙ったミエを見て、ホンギュが首を捻る。

「は?何て?聞こえねー」

消え入るような小さな声で、「私を・・」と続けるミエ。

そこでチョルは、ミエの異変に気がついた。

かあっと、耳が赤くなっている。

いや、耳だけじゃない。

顔全体が、真っ赤に染まっていたのだ。

なんだ?なんで赤くなってんだ?

チョルはその理由が皆目見当もつかなかった。

ミエは赤い顔のまま固まって、汗までかいている。

するとそこで、そんなミエの様子を見たホンギュが言った。

「なんだ?急に顔どうしたんだ?」

「はは〜ん、もしや豆子お前、チョルのことが好・・」

ホンギュがその先を言おうとした時、チョルとミエのすごい視線が飛んだ。

「あ」

固まるチョル。

同じく、固まるミエ。

「は・・」

ニヤついたホンギュが続けるその前に、ミエは咄嗟に口を開いた。

「ち、違うっ・・!!」

「てか、どうして一緒に名札を探してくれないの?!そんなに毛虫が怖いわけ?!」

”毛虫”、このワードを聞いて、男たちは皆納得した。

「あー・・」「毛虫か・・事情はわからないけど、毛虫ならしょうがないよ・・」

チョルはすぐに反撃した。

「おいっ!毛虫は誰だって・・じゃなくて!!

だからなんでいつもよそ見ばっかしてんだよって話だろ!!」

「てかそのコーラちょうだいよ!」

「寝ぼけてんじゃねーぞ!」「ちょうだいってばー!!」

何か変化が起きそうだったけれど、いつの間にかいつものチョルとミエの風景である。

ホンギュとジョンウクは顔を見合わせながら、響き渡るミエの声を聞いた・・・。

「ちょうだいよー!」

 

そしてこのあと、場から去ったミエといえば・・

はあっはあっ・・

逃げるようにまた同じ場所に帰って来てしまった。

ショーは中止。こんなはずじゃなかったのに・・。

「もーーーーっ!!なんでーーーーーっ?!!?」

そんなミエの叫びが、塾の中でこだましていた・・。

 


第六十九話⑤でした。

 

今回少し第七十話の冒頭部分も足してます。

いや〜ミエちゃん、これはかなりチョルへの恋心が育ってきてると見た!!

けど中学生くらいって、友達にからかわれるのが嫌だから正反対のことを言って誤解されて・・

みたいな時期ですよね〜〜 しかもホンギュはめっちゃからかって来そう・・

ジョンウクは何考えてるかわからんしな〜(未だ信用してない)

 

第七十話①に続きます


第六十九話④

2022-10-07 | 第六十七話〜第六十九話

<エビのアドバイス>

 

さて、とばっちりを受けたミエともう一人のエビ、ジョハンは非常階段で密談をしていた。

「だからさ・・」

「もう一回、もう一回でいいからホンギュに声を掛けてくれよ。

俺が言っても鼻で笑うだけで、全く会話にならないんだから」
 
「いや〜私だって同じようなもんだって・・。
 
ていうか、とにかくうちらとゲーセン行くの面白くないんだってさ。
 
ネカフェに行くんだって
 

 

ジョハンは、なんとかしてもう一度ホンギュとゲームセンターに行きたいらしい。

「あ、そんじゃネカフェに追いかけて行ってみる!?」

「いや、それはちょっと・・」
 
「?・・じゃあ私と遊ぼーよ!絶対にベ・ホンギュがいいの?私とゲーセン行こうよ!」
 
「いや・・」
 
 
 

「あんたと行っても、ゲーム下手だから面白くない・・言っちゃなんだけどクソ下手・・

「?!なに言ってんじゃこのガキャー」
 
 
ジョハン、案外失礼だった(笑)
 
二人はポカポカと互いを叩きながら言い合いをする。
 
「はぁ?!あんたよりは上手いし!」
 
「本気で言ってる?!ベ・ホンギュが行きたがらないのはあんたのせいだろ?!」
 
「ふざけんな!」「ふざけんな返し!」
 
「ローリングウルトラスペクトルオーロラふざけんな返し返し!」
 
「意味不明なんだけど!」「あんたこそ!」
 
ひとしきり言い合った後、ミエは疑問に思っていたことを聞いてみた。
 
「てかソラとテグァンが話に出てこないけど、なんでベ・ホンギュばっかり?
 
二人とも一緒の学校でしょ?仲悪いん?」
 
「仲良くない・・二人とも、一言も喋ったことない・・」

「あの人(テグァン)とは・・・なんか気まずいし・・あの人(ソラ)怖いし・・」
 
「うん・・」
 
 
ちょっとわかる、とミエは何も言えなくなってしまった・・。
 
「それじゃあチョルとジョンウクは?声掛けて一緒に行こうよって誘ってみようか?」
 
「えっ?」
 

ミエからの申し出にパッと顔を上げたジョハンだったが、すぐにキム・チョルのことを思い出して身をすくめた。

ひいっ!

「あ・・いや・・いいや・・」

あれも嫌、これも嫌。

ミエはそんなジョハンに、自分なりの考えを話してみる。

「あんたはホンギュとどうなりたいの?仲良くなりたいの?勝ちたいの?」

「とにかく私一人じゃ大変だからさ、あんたも他の方法考えてみてよ。

そんなら協力するよ」

「どうなりたいにせよ、私が全部お膳立ては出来ないじゃん。

あんたの希望なんだから、あんたが方法を見つけないと!そうしてこその解決ってもんでしょ?」
 

ジョハンはただ黙って聞いていた。

そしてミエは、ガラスドアの向こうにキム・チョルがいるのを発見した。

「あっ!私行くね!」

「とにかく私は用があるからこの辺で・・!ファイト!だよ!」

そしてミエは、ダダダ・・と大きな足音を立てて行ってしまった。

ジョハンはミエから言われた言葉を、今一度反芻する。

「方法・・」

 

 


第六十九話④でした。

少し短めの記事ですみません!

 

ジョハン、すっかりミエには気を許してるんですね・・

ホンギュにはバカにされながらも、近づきたくて気になる存在なのかな・・

 

第六十九話⑤に続きます


第六十九話③

2022-10-04 | 第六十七話〜第六十九話

<鯨が邪魔をする>

「鯨の戦いにエビの背中が破ける」=「とばっちりを受ける」からの、このタイトル。

さて鯨とは誰なのか?

 

塾は休憩時間になり、教室からは生徒たちがわらわらと出てくる。

Sクラスでは、ヨンヒのリュックに入れたポケベルが鳴った。

「ねぇねぇヨンヒ、うちら一緒に・・からかいに・・

 

ミエがそう言うやいなや、ヨンヒは秒で身支度をして教室を出て行ってしまった。

「先帰るわ。じゃ」「えっ!?まだ授業終わってな・・」

「チャ・ヨンヒやべー。マジ帰ったし」「ええっ?えええっ?」

「待って!一緒に・・」

そう言ってヨンヒを追いかけようとしたミエだったが、後ろからこの人が邪魔をした。

「ファン・・」

「ちょっと待てファン・ミエ!!」

ビタンッ!

ジョハンが思い切り引っ張ったので、ミエはそのまま地面に落下してしまった。

ミエの「グエッ」という声が、教室中に響く。

ジョンウクは「大丈夫?」と聞いてくれているが、それどころではない。

「なんなんだよ〜!」「早くどいて〜〜〜」

 

そしてベ・ホンギュに至っては、腹を抱えて大笑いをしていた。

「ぷはははは!何やってんだよ!」

ジョハンが体を持ち上げると、ずっとうつ伏せだったミエが仰向けになった。

すると二人の体勢は・・・・

シャラララ〜 

その瞬間、甲高い悲鳴が上がった。

「きゃああああああ!!!」

てっきりミエの叫び声かと思いきや、それはパニックになったジョハンの叫びだった・・。

「どいてっ!どいてってば!」

「わかったからじっとしてて!俺だってビックリしてんだ!心臓麻痺なるかと・・
 
 
てんやわんやのその騒動に、ホンギュは笑いが止まらない。
 
「お前ら付き合ってんの!?付き合ってんだろ!?」
 

するとその空気を切り裂くような、鋭い足音がミエの真横で響いた。

ドンッ!

「どけ」

ソラはミエを見下ろしながら、低い声でたった一言そう言った。

教室を出て行く。

空気が動き出した。

続いてキム・チョルが、ジョハンの襟元を持って彼を起こす。

グイッ

「気をつけねーと」

チョルは静かにそう言っただけだったが、ジョハンは青い顔をして謝り倒していた。

「ご・・ごごごめん・・」「なんで謝るんだ?」「え?ごめん・・」

[16歳]

寝そべるミエ、心配するジョンウク、笑い転げるホンギュ。

「二人とも大丈夫?」「腹いてぇ〜〜死ぬー!」

冷静に注意するキム・チョル。

「おい、もう起きろ!」
 
そして、燃え尽きるファン・ミエ・・・。

 

[こんな恐怖は初めてだ](*色んな意味で)

さまざまなことに巻き込まれすぎて、とばっちりを受けすぎて、エビはただ流れに飲まれるのみである・・・。

 


第六十九話③でした。

 

「気をつけねーと」は青田先輩思い出しますね・・!

チョルよりもっともっともっと怖いですが・・

しかしジョハンよ・・ミエを呼び止めたいにしても不器用すぎる〜!!

ミエちゃんの顔に傷が残りませんように・・

 

第六十九話④に続きます