授業が終わり、学生たちが外に出て来た。
夜の街は、ガヤガヤと騒がしい。
ミエはというと、塾から家へのバスに乗り込み、いまだに消化しきれない気持ちを抱えていた。
チョルをからかうと決めてみたものの、いざとなると言葉が出てこなかった先程のことを振り返る。
てか考えてみれば、人前で話すにはちょっと恥ずかしい話じゃんね?
けどせっかくのチャンスなのに、このまま逃しちゃうの?
ギャラリーがいた方が盛り上がるけれど、ギャラリーがいるからこそ恥ずかしいのだ。
ミエは一人で、チョルをからかう練習をする。
「私見たの!あんたが私をあ・・」
「愛・・」
プシュー
やはり言えない。「ファン・ミエの弱虫・・」と自分で呟く。
すると窓の外に、自転車に乗ったチョルがいるのに気がついた。
パッ
顔を逸らしたミエだったが、即座にまたチョルをからかうことを思い出した。
バンッ
外にいるチョルに向かって、パクパクと口を動かす。
もうチョルには訳が分からなかった。
そしてミエの企みは・・
[また失敗]
<分かろうとしてみても>
マジでなんなんだ?
チョルは自転車を漕ぎながら、ミエの不可解な言動に思いを馳せた。
自分の方を見ていたかと思うとパッと目を逸らし、
体育の時間では、思い切り跳び箱に激突していた。
今日は何なんだよ一体
元々変なやつだけど、今日は特別変だろ・・
何か言いかけては止めて、そうしてようやく口を開いたと思ったら・・。
「なんで一緒に名札探してくれないの?!」
[あれが本音か?本当にその話がしたかったのか?]
[だから昼から変だったのか?]
いや、名札弁償させたいだけかも・・
チョルは眉間に皺を寄せながら、今朝の失態を思い返した。
「気をつけなくちゃ。お前にぶつかったら、小さい女の子たちみんな吹っ飛んじゃうよ?」
ムカッ
正論だとしても、モジンソプに言われたその言葉にチョルはムカついた。
毛虫に大声を出して恥ずかしい思いもそれに拍車を掛ける。
あー!なんであの時よりによって毛虫が・・
そしてまた眉間に皺が寄っているのに気がついた。
けれど自分自身にムカつく思いとは別に、単純にファン・ミエのことは気になっていた。
けど、何か言いたいことがあんのは確かだよな・・
「私見たんだから!あんたが・・」の続きをチョルが待っていると、
ミエは突然言葉を忘れたかのように固まって、
そしてそのまま、あの表情になったのだった。
なんで急に赤面したんだ?マジで変なやつ・・
どっか痛かったんか?
チョルはキイッと自転車を止めた。
聞き覚えのある声が、向かいの建物から聞こえて来たからだ。
「もー!なんでぇ?!」「あんたが勝手に飛び出して行ったんでしょ!?
「いたたた!だから本当に急用だったんだってば!」「何の急用よ!?ほら!答えられないじゃない!」
「ほらほら母さん、落ち着いて落ち着いて・・」「もー!一体いつまで外出禁止なのぉ〜?!!?」
[・・一体どうなっているんだろう・・]
知りたいような知りたくないような、ファン・ミエを取り巻く、その全て。
チョルはそのまま自転車を停めて、自宅へと帰ったのだった。
第七十話①でした。
チョル、以前ミエの上靴上げ底事件(四十六話)でミエの赤面を見た時、
こんな反応でしたが、↓
今回はこんな感じで・・
なんか二人とも徐々に変わって来てるのがわかりますね〜!
(ミエにとっては上履き事件は恥そのものだと思うので、ちょっと違うかもしれんですが・・)
これからが楽しみです!!
第七十話②に続きます