<鯨が邪魔をする>
「鯨の戦いにエビの背中が破ける」=「とばっちりを受ける」からの、このタイトル。
さて鯨とは誰なのか?
塾は休憩時間になり、教室からは生徒たちがわらわらと出てくる。
Sクラスでは、ヨンヒのリュックに入れたポケベルが鳴った。
「ねぇねぇヨンヒ、うちら一緒に・・からかいに・・」
ミエがそう言うやいなや、ヨンヒは秒で身支度をして教室を出て行ってしまった。
「先帰るわ。じゃ」「えっ!?まだ授業終わってな・・」
「チャ・ヨンヒやべー。マジ帰ったし」「ええっ?えええっ?」
「待って!一緒に・・」
そう言ってヨンヒを追いかけようとしたミエだったが、後ろからこの人が邪魔をした。
「ファン・・」
「ちょっと待てファン・ミエ!!」
ビタンッ!
ジョハンが思い切り引っ張ったので、ミエはそのまま地面に落下してしまった。
ミエの「グエッ」という声が、教室中に響く。
ジョンウクは「大丈夫?」と聞いてくれているが、それどころではない。
「なんなんだよ〜!」「早くどいて〜〜〜」
そしてベ・ホンギュに至っては、腹を抱えて大笑いをしていた。
「ぷはははは!何やってんだよ!」
ジョハンが体を持ち上げると、ずっとうつ伏せだったミエが仰向けになった。
すると二人の体勢は・・・・
シャラララ〜
その瞬間、甲高い悲鳴が上がった。
「きゃああああああ!!!」
てっきりミエの叫び声かと思いきや、それはパニックになったジョハンの叫びだった・・。
「どいてっ!どいてってば!」
するとその空気を切り裂くような、鋭い足音がミエの真横で響いた。
ドンッ!
「どけ」
ソラはミエを見下ろしながら、低い声でたった一言そう言った。
教室を出て行く。
空気が動き出した。
続いてキム・チョルが、ジョハンの襟元を持って彼を起こす。
グイッ
「気をつけねーと」
チョルは静かにそう言っただけだったが、ジョハンは青い顔をして謝り倒していた。
「ご・・ごごごめん・・」「なんで謝るんだ?」「え?ごめん・・」
[16歳]
寝そべるミエ、心配するジョンウク、笑い転げるホンギュ。
「二人とも大丈夫?」「腹いてぇ〜〜死ぬー!」
冷静に注意するキム・チョル。
さまざまなことに巻き込まれすぎて、とばっちりを受けすぎて、エビはただ流れに飲まれるのみである・・・。
第六十九話③でした。
「気をつけねーと」は青田先輩思い出しますね・・!
チョルよりもっともっともっと怖いですが・・
しかしジョハンよ・・ミエを呼び止めたいにしても不器用すぎる〜!!
ミエちゃんの顔に傷が残りませんように・・
第六十九話④に続きます
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