<愛と美愛>
ミエは文具店の側で立ち尽くしていた。
[え?さっきなんて言った?]
「あ・・・あ・・」
ミエは先ほどのチョルの言葉を、少し誇張して思い出してしまう。
「愛するの・・美愛」
頭の中に、バーンと大きなハートマーク。
”愛”・・?
思い浮かぶ愛の歌を歌う歌手。
「愛とは〜!」
[キム・チョルと私の・・]
”愛”とは・・昔話でよくあるこんなのとか・・
少女漫画でよく見るこんなのとか・・
・・てこと!?
愛!?
頭の中で何度も「愛とは〜」の歌が聞こえる。
[初めて肌に直接触れた、自分の名前と”その”単語は]
自分の名についた”愛”が、鳥肌となって浮き出てくる。
そしてついに、ミエは耐えきれなくなった。
ぶふぅーーーーっ!!!
「ぷははははは!!!」
空に、町内に、ミエの大爆笑が響き渡る。
「きゃはははははは!!!!」
「ぎゃははははは!!!」
「あーっはっはっはっはっ!!死ぬっ・・ヒィッヒィッ・・」
「ぎゃははははははは!!!」
その不審すぎる姿を見て、ご近所さんが「あれ・・ファンさんとこの娘さん?」
けれどミエにとってはそれどころではない。
まるでオウムのように反復するだけのチョルに、笑いが込み上げてくる。
だって、正気だったらきっと・・。
「愛する・・」
ミエは、あの時のチョルの表情を想像する。
モジモジバージョンや、イヤイヤバージョン。
「愛するの・・・愛・・」
”愛”に耐えきれないブルブルバージョン。
「あひ・・ふる・・くっ・・」
もう可笑しくてたまらない。
ミエは再び吹き出した。
「ぶはっっ!!!」
けれど脳内では次なるバージョンを生み出していた。
それは、
”愛”の真剣バージョン——・・・
「愛する、美愛・・・」
再び、ミエの呼吸が止まった。
ただただミエは吹き出すことも出来ず、胸の中にある感情に、ただ動揺する。
<不発>
ミエはしばし固まったが、
「ブフッ!」
すぐに再び吹き出した。
[いやもうこれはとても我慢できない。
絶対にからかってやらなくっちゃ!!]
ミエはそう決めて、速攻で家に帰ったのだった。
第六十八話②でした。
おおっ!真剣バージョン、ドキッとしたー!!
ミエちゃん、とうとう自覚するか?!と思いましたが、すぐに笑っちゃってたので、
もうちょっと時間がかかりそうですね〜
自覚の瞬間楽しみだな〜(ニヤニヤ)
第六十八話③に続きます
本当徐々に徐々にですね!^^
もどかしいけどキュンです!