ミエの頭の中に、大きなハートマークが浮かんだ。
そのハートの名前とはまさしく、
”愛” である。
歌謡曲で愛を歌う歌手の歌声を思い出す。
「愛とは〜!」
[ファン・ミエにとって”愛”とは]
それに初めて触れたのは、小学生の時だった。
[退屈な、お茶の間で偶然見つけた、]
[コーティングされた野花のようなものだった]
偶然見つけたその花と一緒に、”愛”が綴られた手紙を見つけたのだ。
「ジンオクさん、僕はジョンナムです。
「お父さんがお母さんに?」
その”愛”の結晶、ファン・ミエにとって”愛”とは。
[ブラウン管越しの、]
タイタニックにもロミオとジュリエットにも、
[知らない外国人達の、]
いつも読んでる漫画の中にも、
[二次元の美人とイケメン達の、]
大ヒットした映画の中にも、
[大人達の、]
[ だったのだけど・・]
今までならそれで済んでいた。
けれど今は——・・。
「名札を注文するのかい?名前は?」「ファン・ミエです」
「あぁ、女の子のなのか」「はい」「2日位かかって、1200ウォンだよ」「はい」
と同時に可笑しくもあった。
なーんだよ照れ隠しかぁ?と先ほどのチョルの態度を思い出して笑う。
「ちょっと!チョ・・」
声を掛けようとした矢先、チョルの声がミエの名を口にした。
「ミエ」
「えーっと”エ”は愛するの字の”エ”?」「はい」
「愛するの・・”エ”です。美愛」
まるで呼吸を忘れたかのように、ミエは動けなくなった。
文具店のおじさんとやり取りを続けるチョルの後ろ姿を見ながら。
「二日後においでね。はい、これお釣り」「どうも」
けれど徐々に・・・
え・・・
そしてだんだんと、とんでもないことを聞いてしまったと自覚する。
えええーーーーっ!!
カタン
ふと後方で物音がしてチョルは振り返ったが、そこには誰もいなかった。
それもそのはず。
見つからないように、ミエが身を隠したのだ。
バッ!!
「・・・・」
なんとも言えない感情が、胸の中を渦巻く。
自分の名前にある”愛”が、ミエの頭の中でぐるぐる回る———・・。
第六十八話①でした。
おお!ミエのパパとママ、ロマンチックですね〜
しかし娘に見つかってますよ!笑
若い頃のパパママを見てみたいです
六十八話の表紙はこちら!
愛の天使、ミエー!!めちゃ可愛い
第六十八話②に続きます