午後3時、セモドン駅周辺は若者たちで賑わっていた。
そこに一際目立つ、一人の青年が立つ。
スニーカーにジーンズ、Tシャツにキャップ。
一見普通の服装だが、彼が着こなすとどこかキマッて見えた。
その様子を目にしたファン・ミエは、瞳をキラキラさせて感動していた。
「うわぁ〜!かっこいい〜!」
「雑誌に出てくるストリートスナップみたいじゃん!」
「撮られたことあるよ。ソウル行った時」「えっマジで?!」
珍しくミエに褒められたモ・ジンソプは、マナーとしてミエにもそれを返そうとする。
「君も・・」
しかし・・・。
「なんか俺のいとこみたい(男の子だけど)」「え?それ褒めてる?」
そう言うのがせいぜいであった・・・
さて二人がこうして会っているのは、ピアスを探すためである。
「そんじゃ見に行こっか!あのピアスってどこで買ったの?」
「う〜んあんま覚えてなくて・・」
そんな二人から離れたところに、身を隠している一人の男がいた。
気づかれないように、足音を忍ばせて尾行する・・・。
ちなみに、ミエが「コーデを考えてきた」内情は・・。
+)
[外出前、それなりに悩んでいたミエ]
イケメンと出かけるコーデは・・と
レンタル店で雑誌を見て研究していたのだった。
<楽しい少年>
ファン・ミエとモ・ジンソプが歩き出した後で、大きなスニーカーが一歩踏み出す。
ミエはキョロキョロしながら街を歩いていた。
「ねぇほんとにどこで買ったの?雑貨屋さん?服屋さん?」「さぁ〜」
同じく街を見ながら話すモ・ジンソプを、陰ながらじっと凝視する。
「とりま探してみよーよ。あっち行ってみようか」
「どしたの?」「ん?別に!あ、あそこかな??」
ミエがジンソプに答えた途端、背後でサッと大きな影が動いた。
振り返るも、誰もいない。
「ここの店見てみよ」
不思議な気配に首を傾げるミエだったが、とりあえず目の前のピアスを見ることにした。
「おーいっぱいあるじゃん!値段はピンキリだな・・」
そう口にして、心の中がモヤっとするのに気がついた。
「言っとくけど買わないからね?!同じのあるかなーって見てるだけだから!」
ミエはフッと息を吐いて彼を見た。とにかく同じピアスを見つけ出さないことには始まらない。
「よーしどれどれ〜?」
そんなミエを見下ろしながら、モ・ジンソプは思っていた。
「女性物のがめっちゃ多いよー?」
値段を大分盛ったが、ピアスをもらいたいわけじゃない・・・
今日はせいぜい選び続けろファン・ミエ!!
モ・ジンソプの真の目的とはそれであった。
ピアスを失くした負い目のあるミエを苦しめたい、その一心だ。
ミエはそんなモ・ジンソプに、じっとりとした視線を送っていた。
友達?友達〜??
チョルと”友達”になったと言うモ・ジンソプのことを、ミエは何一つ信用出来ていなかった。
二人はそれぞれの思惑を胸にしまいながら、架空のピアスを探し続ける・・・。
第五十三話③でした。
モジンソプのキマってる感じと、ミエの野暮ったい感じの対比がよく出てますね〜
そして二人は腹の中は真っ黒という・・笑
第五十三話④に続きます
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