北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

大飯原発運転差止仮処分却下 司法は変らないのか

2013-04-16 | 脱原発
 関西を中心とした住民262人が大阪地裁に、国内で唯一稼働している関西電力大飯原発3、4号機の運転差止の仮処分を求めていた裁判で、小野憲一裁判長は16日午後、住民の仮処分申し立てを却下した。(決定理由の要旨はこちら)。

 福島第一原発事故で国策追随の司法の責任も問われている中、まったくその反省のかけらもない、関西電力の主張を全面的に受け入れた決定である。

 最大の争点であった地震3連動時の制御棒挿入時間について、基準値の2.2秒を超えることは保安院も認めているのに、「具体的危険性があると認めるには足りない」とする。
 安全解析していない2.39秒でも危険はないとする裁判官の思考回路は、3.11前の安全神話にしがみついているとしか思えない。

 F-6破砕帯についても「活断層であることを認めるに足りる事情は見当たらない」と断定する。
 F-6の評価については規制委員会の地震チームの間でも意見が対立している(私は双方の主張を聞く限り明らかに活断層だと思うが)。見解が割れている場合、すなわち「活断層である可能性が推定される場合は・・・安全側の判断をおこなうこと」とは国の安全審査の手引きである。
 裁判所は独自に安全側の判断を否定したのだ。

 原発の安全神話は原子力ムラがつくったのもだが、その信仰を広めたのはマスコミと教育、そして司法だ。
 今回の大阪地裁の決定は、新安全基準に照らして合格しない大飯原発の稼働を継続させるため、規制委員会の露払い役を果たす極めて悪質な決定だ。
 3.11の反省どころか、開きなおって新たな安全神話づくりに突き進むつもりかと思えてくる。

 志賀原発差止訴訟への影響は、原発の型が違い、活断層もそれぞれの立地点ごとの評価だから一概に言えないが、司法の体質が3.11後も変わらないならば、さらに気を引き締めて取り組んでいかなければならない。


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