北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

能登半島はどうやって造られた?

2013-12-22 | 志賀原発
 12月19日の北陸電力のS-1最終報告書に関連してひとつの視点を提起したい。

 最終報告では敷地内にあるS-1をはじめとした断層を「将来活動する可能性のある断層等」でない=活断層でないと結論付けた。敷地から1.5キロ程度東側にある福浦断層が動いて700ガルの揺れが襲っても影響はないとしている。現在、志賀原発が想定している最大の揺れは600ガルであり、それを上回る揺れが襲っても直下の断層に影響はないというのだから、まさに初めに結論ありきとしか私には思えない。

 なお、従来600ガルを想定していた志賀原発だが、北陸電力は「重要な施設は十分な余裕があるから大丈夫」とし、しかも先回りして先月(11月)耐震能力向上工事をおこない1000ガルに引き上げると発表している。
 基準を超えているが余裕をもってつくってるから大丈夫などという主張はおおよそ耐震安全性の議論に耐えうる話ではない。志賀原発が稼働してから20年、福浦断層が動かなかったことは幸運だったとしか言いようがない。
 
 さて、今回の報告書の結論としてS-1は12~3万年以降の活動が確認されず、よって将来も動かないとされている。
 詳細な反論は今後、裁判でおこなっていくし、どちらが早くなるかわからないが原子力規制委員会の現地調査でも数多くの批判や疑問が出されることと思う。

 ここでは一つだけわかりやすい問題点を指摘したいと思う。
 そもそも今の能登半島はいつ頃、どうやって造られたのかということである。

 金沢大学の地震断層研究班による「能登半島の地形・地質構造と能登半島地震の断層運動」という論文を紹介したい。
 
 特にこの中の「6. 奥能登地域の地質構造と地震発生場」をご覧いただきたい。

 地殻変動も要因の一つであるが、基本的には地震の繰り返しによる隆起や沈降で形成されているとされる。
 特に志賀原発が立地している一帯は12万年前に形成された桑山地塊が発達しているとされ、中位段丘面とされる。

 どういうことかというと、志賀原発は現在海面から約20メートルの高さに立地しているが、この場所は12~3万年前は海面の高度にあり、その後、地震の繰り返しで徐々に隆起してきたと考えらると指摘しているのである。12~13万年前は海面の高さだったということは、その当時堆積した海成の地層からも示されている。

 志賀原発敷地内のS-1をはじめとした断層は敷地を挟み付けるように繰り返し地震動が襲い、副断層として形成されたと思われる。
 「これぞまさに活断層」と指摘した根拠となったスケッチ図はその証でもある。

 志賀原発の敷地をこのような地震動が襲っていなかったと北電が主張するのなら、上記金大研究班の論文をはじめとした学会の研究成果を否定し、地殻変動でゆっくりゆっくり12~13万年かけてそっと持ち上げられてきたということも明らかにしてもらわなければならない。能登半島の成り立ちの研究成果を否定する大変な作業になるだろう。

 


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