羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

深夜食堂

2014-12-25 20:06:39 | 日記
『めしや』のマスターは早く仕込みを始めていた。蕎麦のタネだ。めしやで年越しを迎えたいという客がいくらかいるので、店も少し早く開ける。どこで習い覚えたものか、神妙な面持ち手打ち蕎麦を仕込むマスター。夜も更けつつあった。
最初に来たのはカスミだった。「大晦日まで開けてるやなんて、貧乏暇無しやな」軽く毒を吐いて、貰い物だと何か渡すと、「この時期は稼ぎ時や」と何も食べずに去って行った。
続いてカメラマンとサラリーマンコンビが来店。サラリーマンは手打ち蕎麦持参でマスターをガッカリさせる。蕎麦を食べながら家庭の上手くいっていない上司や取引先の噂をするが、「俺達、その家庭すら無い」と落ち込む男達。
マリリンと彼氏もやって来た。やはり手打ち蕎麦持参。いよいよ意気消沈するマスター。ここで時間を持て余したサラリーマンがトランプを取り出し、客達はババ抜き? を始めた。
その後に現れたのはキャップ被りの年輩常連客。これまた手打ち蕎麦持参。もう何も言わないマスター。
刑事の夏木も現れた。「年越し蕎麦3つ、テイクアウトできますか?」「俺の蕎麦でいいのかい?」ようやく自分の蕎麦に注文が入り、張り切って蕎麦を茹でるマスターであった。
更に小寿々とお供のオカマも現れ、皆で改めてマスターの蕎麦を頼み出した。12時を回ると「新年明けましておめでとうございます」とマスターが挨拶をし、祝いの酒を注ぎ合う一同、そこにいい歳して振り袖を着たお茶漬けトリオが現れ、乾杯! となった。日本酒はマスターの奢りである。
最後は竜とゲンも来て餅突きが始まり、雑煮を食べ、お茶漬けトリオが何故か感動して泣き出し、小寿々が、餅を喉に詰まらせ吐き出した餅が竜の額に命中する珍事もあった。
めしやの新年はささやかに迎えられた。

隣のレジの梅木さん

2014-12-25 20:06:28 | 日記
母子家庭で育った太め体型で過食症だが吐かない主義の梅木さんは大学院を卒業したが就職せず、ラーメン屋を目指すが今は高価格帯スーパーでレジ打ちしていたのだが、ラーメンの師匠で彼氏でもある小林の子供を妊娠してしまい、母から勘当されてしまった。
ある日、同僚の黒崎がスーパー内で自分の家庭を崩壊させた不倫女を見付け襲い掛かった。だが、結局自分で自分を傷付け笑い出す黒崎に不倫女は「ごめんなさい」と謝った。「達者でな!」おかしなテンションで梅木に別れを告げ、黒崎は警備員に連れて行かれた。
またある日、梅木に自分が憧れていた医者が実はデブ専で告白したことを知ったやはり同僚の美香は「ちょっと死んでくる」とスーパーを飛び出した。ハイスペックだが男にセフレ扱いされ整形も上手くゆかず、美香は追い込まれていた。車に跳ねられた美香は割れた鏡に映った血塗れの自分の顔に初めて満足し、笑って何処かに走り去っていった。
自宅に帰った梅木は不思議と産むことを決め、結局別れていた彼氏が残したレシピでラーメンを作るが吐いてしまう。だが、かえって決心がついた。「あー、スッキリした!」梅木は小林にもう一度だけ会いにゆくことにした・・・
何年かぶりにヤングシナリオ大賞見た。結構キツい。黒崎はギリギリ帰ってこれそうだが、美香は完全に彼岸の国に旅立ってしまってる。ちょっとストレスに突っ込み過ぎな感じはした。作中の鴨にエサをやる心境じゃあるまいし、真っ黒ではなくカフェオレくらいの心持ちで丁度いいんじゃないかね。
梅木とダメ彼氏が踏み止まりはしたけど、あの流れでラーメン吐き出した時はこの話の場合、梅木も飛ばすつもりか? それはさすがに人間についてナメとる、と思ってハラハラしたよ。