親の決めた嫁ぎ先で身籠ったシノは冬の川に入水したが子を堕ろすことはできなかった。産まれ泣く、レキを呆然と見詰めるシノ。「この子を愛せない」数年後、雷雲の出た日、シノは育ったが赤子のように泣き喚くレキを庭の高木に縛り付け、許しを乞う子の叫び声に屋敷の中で耳を塞いでいた。その時、高木に雷が落ちた。
それから更に数年後、雷が『何度も』落ちる高木の話を聞き付けてギンコがシノの屋敷を訪ねてきた。調べた結果、木には蟲はいない。「雷に打たれた者はいませんか?」ギンコは問うた。レキだ。最初に打たれてから三度、庭の高木の袂で雷に打たれていた。「これは蟲の仕業ですな」レキは臍辺りに『招雷子』という雷を喰う蟲に憑かれていた。この蟲の幼生は羽化する為、憑いたまま雷を呼ぶ特性があるものの、憑かれた者の臍の緒を煎じた薬で落とせるという。「どこへやったかしら」ギンコに求められても、シノは『臍の緒』を見付けられなかった。
ギンコはシノが『臍の緒』を探している間、里の様子を見ていたが、高台からシノの屋敷と件の高木を見て、ちょうど屋敷から『雷に気付いたら』直ぐに駆け付けられる所に高木があることに気付いた。レキはシノや家族を守っていたのだ。
雷雲が立ち、雨が降り出した。レキはギンコを避け、里の外れの原で雷を待っていた。ギンコはシノを連れ、レキの無茶を止めさせようとした。「お前に生きていて欲しいんだ、って言ってやれ!」いつになく熱いギンコ。しかし、「そんな風に思えない」落涙するシノ。シノはレキを抱き締め、共に死のうとした。「今度はきっと、子供を愛せる母親に産まれてきてあげるから」呟くシノを突飛ばし、駆け出したレキは雷に打たれた。
その後、レキから羽化した招雷子は抜けてゆき、生き残ったレキは親族に預けられていった。持たされた『臍の緒』を手に、レキは雷雲を見詰めた・・・
それから更に数年後、雷が『何度も』落ちる高木の話を聞き付けてギンコがシノの屋敷を訪ねてきた。調べた結果、木には蟲はいない。「雷に打たれた者はいませんか?」ギンコは問うた。レキだ。最初に打たれてから三度、庭の高木の袂で雷に打たれていた。「これは蟲の仕業ですな」レキは臍辺りに『招雷子』という雷を喰う蟲に憑かれていた。この蟲の幼生は羽化する為、憑いたまま雷を呼ぶ特性があるものの、憑かれた者の臍の緒を煎じた薬で落とせるという。「どこへやったかしら」ギンコに求められても、シノは『臍の緒』を見付けられなかった。
ギンコはシノが『臍の緒』を探している間、里の様子を見ていたが、高台からシノの屋敷と件の高木を見て、ちょうど屋敷から『雷に気付いたら』直ぐに駆け付けられる所に高木があることに気付いた。レキはシノや家族を守っていたのだ。
雷雲が立ち、雨が降り出した。レキはギンコを避け、里の外れの原で雷を待っていた。ギンコはシノを連れ、レキの無茶を止めさせようとした。「お前に生きていて欲しいんだ、って言ってやれ!」いつになく熱いギンコ。しかし、「そんな風に思えない」落涙するシノ。シノはレキを抱き締め、共に死のうとした。「今度はきっと、子供を愛せる母親に産まれてきてあげるから」呟くシノを突飛ばし、駆け出したレキは雷に打たれた。
その後、レキから羽化した招雷子は抜けてゆき、生き残ったレキは親族に預けられていった。持たされた『臍の緒』を手に、レキは雷雲を見詰めた・・・