大坂なおみが全米オープンで優勝した。これ自体すごい事だ。強い選手が多くいる中で優勝するのは、並みたいていの事ではない。加えて、大坂は今回の大会で、黒人差別への抗議を一貫して貫いた。抗議として、黒いマスクに白人警官や自警団に殺された7人の黒人の名前を書いて試合に臨んだ。どの試合も接戦であった。殺された黒人の魂が大坂なおみを後押ししたのだ。そう思わざる得ないと感じるぐらいぎりぎりの戦いを勝ち抜いた。なおみも殺された黒人の悔しさを感じていたのであろう。もし、日本で大会が行われていたら、全然違う展開になっていたのではないか。日本では、スポーツに政治を持ちこむ事自体、歓迎されないであろう。日本の組織委員会やマスコミは、たぶん大坂の行為を許さないであろう。日本のネット世論も大坂の行為に対して、ぐちゃぐちゃと書き込むだろう。今だって満足に日本語をしゃべれない大坂に、人格攻撃をしている心の狭い人間がいる。欧米でも、大坂の行為を良く思わない連中はいる。しかし、多くの欧米のメディアは大坂の抗議を行為的に伝えた。日本では、スポーツ選手が大会で政治的抗議する事など、ほとんど起きない。欧米の選手と日本の選手では、意識が全然違う。日本でも在日朝鮮人に対してのヘイトスピーチなどの差別はある。もし、両親とも日本人で、日本で生まれ、育った日本人が、大会でヘイトスピーチの抗議の文面が書かれたウェアーを着てプレイしたら、大問題になるだろう。日本の世論は、この選手の行為を許さないであろう。謝罪しろとか、1年間のプレイ禁止とかの処分を課すであろう。日本の人権意識と欧米の意識、感覚、感性では違いすぎる。そもそも、日本では、多くの日本人は、政治には関心がない。欧米での差別、人権侵害はひどい。しかし、人権を守ろうとする人々の戦いは、粘り強く負けてない。市民革命など起きた事のない日本民族と、血の抗争の末に民主主義を作ってきた国々とは、歴史が全然違う。今後も大坂なおみを人間として応援しよう。国籍や人種なんてどうでもいい事だ。日本人もアメリカ人も黒人も、アジア人も同じ人間ではないか。違いを強調して、差別、暴力を振るう連中に誤りを指摘続けなければいけない。人間は皆兄弟、平等だ。日本政府は人権教育をしっかりやれ!内向きのナショナリズムに酔いしれてる場合ではない。