川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

ミュンヘン・レポート

2016年08月29日 | 旅行記
ドイツはミュンヘンに行って参りましたので,ご報告差し上げます。

■ 目的

世界の45歳以下の弁護士で構成する若手法曹国際協会(AIJA。欧州人が中心)の会合に参加してきました。AIJAについては別稿で述べます。

主な目的は,
① IPBA(環太平洋法曹協会)をよりよくするために,他の団体から国際組織運営を学ぶ,
② IPBAオフィサー(役員)として,AIJAとの連携を模索する,
③ ネットワーキング(国際法務をするためには,その国の弁護士を知らないといけない),
④ 欧州人の思考・行動様式を学ぶ,
でした。

加えて,⑤新しいエコシステム(Airbnb, UBER)を試す,ということも付随的な目的だったと言えるかもしれません。

■ 欧州とアジアの都市の違い

欧州とアジアの都市の違いは,①自転車専用道路の整備,②電線・電柱だと思います。いずれも欧州が進んでおり,アジアは遅れている。私は,日本が電線を地中化しないのは恥ずかしいことだと思っています。

アジアでは,地中化するコストが10倍くらいかかるから,電柱が乱立… アジア人の美醜感覚が劣るということか,それとも,「景観よりコスト削減を優先する」という経済重視の姿勢のせいなのか…

■ サイクリストの多さ

ミュンヘンでは自転車利用者も多かったですが,これは,自転車専用道路が整備されているから利用者が多いのか,それとも,利用者が多いから整備が進んだのか,いずれなのでしょうか。。
分かる方いたら,教えていただけますでしょうか。

なお,自転車のタイヤはどれも太く,耐久性が高そうでした。また,自転車専用道路は,ロンドンとは異なり,原則として歩道上にありました。

■ UBER

私は,初めて訪問する国では,利便性を肌で確かめたいという好奇心から,公共交通機関にチャレンジすることが多いです。しかし,ドイツ語だけの国(英語表記は多くない)でやろうとしたらタフでした…
主要駅までのキップを買ったり,どこで降りるかを確認したり,バスを利用しようと思ったら逆方向に乗ったり… 
 
主要駅ではwi-fiつながらないので(だからUBER使えず),結局そこからはタクシーを利用しました。空港から宿泊先Airbnbまで,2時間近くも結局かかったかな?

しかし,帰国時にはUBERを利用したら,快適この上なし。30分。43ユーロ(タクシーだと60−70ユーロ)。現金も要らない。

今後は,public transportation を利用してみたいという好奇心は,UBERに比べると,時間と労力において,とてつもない代償を払うことを覚悟すべきですね。

というか,UBER自体が,いずれ, 「public」 な,移動手段になってしまうのだと思います。

■ Airbnb

若いカップルのアパート(80平米くらい)に,一部屋をあてがわれて,ルームシェア。帰りは鍵を置いて帰る。

バスルームもシェアなので,好きな時間にトイレ・シャワーが使えなかったりという不便さはあります。

ルームシェアの一番の利点は,「現地人と会話ができること」かと思います。私のように好奇心旺盛な人にはいいと思います。今後のすべての海外旅行はAirbnbでもいいかなと思いました。

例えば,ドイツの市井の人は,Japanを「ヤーパン」とドイツ語のまま発音するのだな,とか,ホテルでは得られない情報を得ることができました。

でもwi-fiは当然使えるし,これで(ベッドルームを提供するだけで)一泊8000円くらいが稼げるのなら,部屋を提供する側も,良いビジネスだなと思いました。

■ その他ミュンヘン雑感

・自転車で半日で観光できるくらいの小さい街。人口140万人。

・English Garden という新宿御苑をだいぶ大きくしたような公園が特徴的。

・ロンドン同様,ミュンヘンでも,散策というか散歩というか,「緑とふれあうこと」が,日常生活の中で大切にされている実感を得ました。日本や他のアジアとの違いです。

・夜道は暗くても安全? 真夜中・真っ暗闇の中を何度も歩きました。

・ロンドンでもそうでしたが,歩道者も自転車も,交通がなくても,赤信号で止まることが多い。罰則があるから…とドイツ人らしい理由があるようです。

・ミュンヘン名物であるEnglish Garden内の「川泳ぎ」経験もしました。楽しかったですが,体が冷える中で(だから筋肉も上手く動かない),川の流れの中で泳ぐのは難しく,溺れるというメカニズムが少し分かった気がしました。

・ドイツと言えば移民ですが,移民の勢力というか圧力を特に感じることはありませんでした。
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AIJA レポート

2016年08月29日 | 法律・海外法務
AIJA(国際若手法曹協会,International Association of Young Lawyers)のミュンヘン年次総会に出席してきましたので,ご報告差し上げます。

■ 概要

54年の歴史ある団体。基本は弁護士の交流と意見交換。IPBAと異なり,人権も扱います。

なぜ欧州人ばかりなの?というのが気になりますが。メンバーは,世界80カ国以上の弁護士が3000人を超えます。

45歳を過ぎると正会員になれない(役員の選挙権がなくなる)ので,参加しない人が多くなる。

■ 年次総会

今回の年次総会は,参加者600人。うち日本からは10名のみ。インドから7名。中韓シンガポールからもほとんどなし。アメリカ人も少ないのが気になりました。欧州中心主義?

4日に及ぶ年次総会は,IPBAより一日長い。でもその分,ソーシャル/カジュアルイベントも多い。

IPBAのように,カジュアルな雰囲気が特徴的で,居心地がいい団体でした。ディナーに続く,パーティは毎晩ありました。

■ 日本との地理的・心理的距離

8割くらいの参加者は,日本に来たことがないそうです。これはちょっと驚きでした。

欧州から見ると,極東日本は,地理的にも心理的にも遠いということを改めて実感しました。

■ 法律セッション

Scientific Programと呼んで,競争法とか環境法とかいろんな法分野をカバー。

来年の東京大会のプロモのため,あまり参加はできませんでしたが,IPBAより数は多くなく,大講堂で,かつ,時間も長い?のかと感じました。

■ ソーシャルイベント

朝ジョギングをするのはいいと思いました。5キロ強ほど。参加者は5−15人でした。

DAY OUTというイベントで,10人のチームを作って,街を散策しながら,アプリを使って,その場所に関連する質問(この建物は何年に建築?など)に回答するというソーシャルゲームは面白かった。ポケモンGOにやや近いものでしょうか。

■ ディクテーション

業務効率化等をテーマにしたあるセッションの挙手によるデータですが,日頃,タイプしないでディクテーション(音声入力+自動翻訳)で仕事をする弁護士が,2割−3割ほどいました。

アルファベットでは漢字変換がないため,アルファベットを使う言語圏では,ディクテーションサービスが発達しているようです。

■ ヨーロッパ人

こういう一括り・十把一絡げにすることがそもそもできるか,という問題もありますが,雑感をあえて述べてみます。

(1) 欧州人らしいReserved(控えめ,それほど社交的でない,ノリが悪い)な気質の具体例:
 
・こちらから話しかけないと,話しかけてこない
 …これは,(人種的偏見のため)アジア人に対してより顕著なのかどうか,もう少し知りたいところです。

・Moderateなダンス 
 …海外の弁護士のネットワーキングでは,夜のパーティではダンスをすることが多いです。総じて,あまりFUNKYでSEXYではない人が多いかな…と思うこともありました。

ただ,以下に述べるように,私に「ステージ・ダイブ」をさせるノリの良さからすると,一概に欧州人が…と判断することは難しそうです。

総じて,まあアメリカ人ほど外交的ではないかな,と思うくらいで,私が持っていた印象を変える事実はあまりありませんでした。

(2) 欧州中心主義?

・AIJAという立派な組織(「世界を救うために,文化的障壁を越えよう」という代表の演説は,TEDに負けない,鳥肌モノでした)が,長年を掛けて,欧州以外に広がっていないこと自体が,何かを示唆しているのでしょうか?

・アジア人を見下すような偏見を感じた出来事もありました。ナイトクラブのダンスフロアでダンス中,おそらくオランダ人と思われる市井の人から,「Do you speak Dutch?」と訊かれたので,Noと答えたら,「ふんっ」て感じの対応をされまして… こういう経験は世界で初めてかもしれません。

(3) その他

・喫煙率は結構高いかも

・食事にサラダがないことがあったり…は想定通りです。

・日本ではメイドさんが居ない(女性が出産後に家事をせざるを得なくなる)のが問題ですが,欧州ではどうかと訊いたところ,概ね,「豊かな国では外国人メイドを,そうでない国では自国の清掃婦を雇う」ことで対処しているようでした。

・「ミュンヘンでは何ガロンのビールを飲むことになるかな?」とジョークを言ったら,真顔で「いや,ガロンじゃなくてリットルでしょ」と言われたのは,欧州では笑いのツボが違うからか,私の言いっぷりが不十分だったか。。

・ダンス盛り上がりすぎて,(主にラテン系の男性が?)怖がる女性を尻目に乱暴になったりすることもあった。
 …これは女性蔑視の現れか? アメリカは女性蔑視が根強いと聞いたことがありますが,欧州もしかりなのでしょうか。女性を社会で登用している(メルケルやメイのような宰相にまでなっている)こととどう関係するのか?は,引き続き考えたいところです。

■ ステージ・ダイブ

300?400?人くらいの参加者が,ビアホールで夕食後,プロのシンガーの歌うロックに合わせてダンスをしている際,私のダンスが参加者中最も目を引いたようでした。そのため,私独り壇上に呼ばれ,Tatsu はProfessional Dancerだとしてアナウンスされ,みんなの前で一人踊るという光栄に浴しました。

その後,ダンスで盛り上がった聴衆数百人の上を(手で持ち上げられて)ダイブして15?メートルくらい泳ぐ(ステージダイブ/モッシュダイブ)という稀有な経験もしました。私だけがステージに上ることが許されたり,プロシンガー自身が,歌いながらステージダイブ(スイム?)している私の写真を撮るなど,誠に誇らしい?経験でした。

こういう「悪ノリ」を私にさせるところからすると,欧州人を中心とするこの団体が果たしてReservedなのかということは疑問になってきます…。

■ 国際法務の今後

法務アドバイスというのは,基本的にその国の制度に基づくので,国境を超えない,というかドメスティック。その国の法務は,その国の弁護士に頼らざるを得ない。

そのため,海外法務情報や外国法に基づく具体的アドバイスが,日本語で容易に得られる時代が到達しない限り(シンギュラリティ時代の今,いくらICTやAIが発達するとしても,今後50年はないでしょう),こういう海外弁護士のネットワーキングの必要性は変わらないのでは,と感じました。
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ロンドン・レポート

2016年08月29日 | 旅行記
ロンドンに行って参りましたので,簡単にロンドン事情をご報告差し上げます。皆様の視野を広げる一助になれば幸いです。

■ 目的

法的な情報収集・ネットワーキングというよりも,私のライフテーマでもある,日本人の「多様性・自由化・国際化・西海岸化」について,現地にいる日本人にインタビューする目的で渡英しました。

ミュンヘンに行くついでに,週末に1日だけというタイトスケジュールだったことや,現地弁護士の都合等もあり,残念ながら現地弁護士との会合は実現しませんでした。

■ 気温

8月下旬なのに気温15度… 東京と20度近い温度差にびっくりしました。

■ wi-fi

ロンドン郊外のヒースロー空港から,市街中心部の駅へ向かう高速鉄道内でも,wi-fiが通じました。

また,Steet Wi-fiといって,屋外でも,人通りの多いところでは,wi-fiが使えました。この「屋外でもwi-fi」というのは,今までで訪問した国ではない,初めての経験でした。

日本でも東京五輪に向けて,どんどん無料wi-fiが整備されてほしいと思います。

■ UBER

日本のタクシーより高い?タクシーよりも,半額くらいという評判のUBERを利用しました。

Street Wi-fiが使える,主要駅の外から利用できたのは良かったです。値段も,日本のタクシーレベルか,それ以下かというイメージでした。

■ レンタルサイクル

ロンドン市内はほとんどすべて,レンタルサイクルで移動しました。クレジットカードを使って,最初の2ユーロ(約250円,24時間有効)以外は,30分以内に返却すれば無料,というシステムは,ニューヨークと全く同じでした。

ニューヨークよりはスタンド(返却・レンタル場所)が少ないと感じました。

ロンドンでもニューヨークでも同じシステムを利用しているのなら,東京でも同じシステムを利用してしまった方が,分かりやすいと思いました。

■ 地下鉄

狭いし,冷暖房がないので,暑かった… 東京の地下鉄の快適さを思いました。

■ Airbnb

住所表記が不正確だったようで,チェックインするのに時間が掛かりました。Facetimeで直接貸主と連絡をして事なきを得ましたが,携帯端末の充電が切れていればそれもできなかったので,携帯での直接の連絡の確保は必須と思いました。

同居人とルームシェアする設定になっており(事務局任せにしていたので,当日まで知らなかった…),同居人がGAYのレバノン人でした。

私は空手黒帯なので,身の危険は感じませんでしたが,そうでない人は,同居人の有無は事前にチェックした方が良さそうです。同居人とはディナーを共にしたり(人生初のレバノン料理を味わいました),空港までの車(25ユーロ,UBERよりもタクシーよりも格安!)を手配してもらったり,とても親切にしてもらいました。

■ サイクリスト・フレンドリー

車道と歩道との間に,自転車専用道路が多く整備されていました(原則は車道通行)。交通がなくても,赤信号の前では止まるのは,印象的でした。

まあ,スリランカ人も,東京で,「赤信号をみんな守っている」ことに驚いていましたから,東京と大差はないのかもしれませんが。

ニューヨークでは,レンタルサイクルをする人は,あまり赤信号を守っていなかったので,ロンドンとは顕著な違いがありました。

■ 散歩・散策

ロンドンでは,ハイドパークなどの公園が整備されてたり,テムズ川沿いにも歩行者専用の散策用の小路が整備されていたり,散歩・散策が,日本人より生活の一部になっているであろうことを肌で感じました。現地の友人に聞けば,郊外では「コモン(ズ)」と言われる共有地で散策を楽しむ僧です。

この散歩への親しみはミュンヘンでも同様でした。「緑や自然とふれ合うこと」を欧州人は日本人より重視するのでしょうか。

■ 人種構成

中東からの人が多く,アジア人は少ないと感じました。例えば,アメリカ等に比べても,日本料理屋はだいぶ少ないのではと感じました。

数年前にサンクトペテルブルグに行った時も「コーカソイドばかりでアジア人が少ない」と感じましたが,それに近い感覚を持ちました。

ただ,ニューヨークなどに比しても,「世界で最も人種構成が豊かな都市」(の1つ)だけあって(疎外感がないので),居心地の良さを肌で感じました。

そう考えると,単一民族に近い日本は,本質的に,外国人に対して,最も「疎外感」を与えてしまう国なのではと考えました。

今後の長い目での日本の発展を考えると,ロンドンを見習って,多様性をより取り入れる(移民を受け入れるなどして)方向を検討すべきと思いました。ロンドンのように疎外感がない国だと,定住までしたくなる,その気持ちを実感することができました。
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8月28日(日)のつぶやき

2016年08月29日 | Tweet
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