5月はいささか憂鬱な月である。
5年前の5月に妻の手術が行われた。
ステージ4のガンと言われていた。
半年掛けて化学療法をし、手術が可能になったのだ。
腫瘍が大きすぎ、しかも大腸に浸潤しているので手術が出来ずにいた。
ソフトボールほどもあったその腫瘍がピンポン球ほどになった。
今なら摘出手術が可能であろうとの判断だった。
手術は5時間経っても終わらなかった。
ただひたすら、無事を祈って待った。
手術後、医師に摘出した臓器を見せて頂いた。
手術用の大きいパレットにいっぱいだった。
二日後にようやく一般病室に移動できた。
2年前の5月、がんが再発した。
造影CT検査で見つけて貰えた。
この時期には必ず造影CT検査をしていただく。
今日がその検査結果を聴く日だった。
妻は朝から憂鬱な顔。
11時の予約が12時になっても順番にならない。
救急患者が入ってしまったので90分遅れと記載されている。
3人いる先生の内、妻の主治医だけが遅れている。
ようやく順番が来て、主治医の顔色や言葉が気になる。
なかなか肝心な話にならない。
妻も私も落ち着かない。
それが医師に伝わったのだろう。
『CT検査は要らないかもと思っていたとおり、問題ありません。』
結論から言えば良いのでしょうが・・・。
話が長くて、済みませんと言った。