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アメリカ・ザ・ゲンバ 青山繁晴

最初の前書き風の文章を読みだして不思議な感覚に囚われた。その前書きによれば、本書が書かれたのは今から10年前以上とのこと、それをあえて今になって、ほとんど手を加えずに新書として売り出したという。こうした時事を扱う解説本としては、もうとっくに賞味期限が切れているはずと思い、何だか騙されたような気分で読み始めたのだが、読んでいて何だかとても変な感じがした。登場する政治家や扱われている事件は当然10年以上の前のものであり、「なんで今更?」という部分が大半なのだが、ときどき「あれっ?今の話と同じじゃん」という部分が顔をだす。別に本書が将来である現在を予言していたということでもないようだし、勝手に読者が今になぞらえて考えてしまっているということなのだろうが、それでも現在との類似点がやけに目につく。特に、トランプ氏の大統領選挙の勝利とゴア・ブッシュの対決の類似点はただ事ではないぞという気分にさせられる。著者自身か出版社の人かは知らないが、おそらく誰かがこの不思議な既視感に気づいたのだろう。記述は著者の自慢話のようなものが目につくし、理路整然と語られているわけでもないのだが、とにかく最初から最後まで不思議な感じがしたまま読み終えた。冷静に考えると、おそらくそうした不思議な感覚の大部分は、後から書き加えられたか修正された部分なのだと思うが、それでも、この本を今になって新書で復刊させるというアイデアには脱帽だ。(「アメリカ・ザ・ゲンバ」 青山繁晴、PLUS新書)

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