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あしたの名医 藤ノ木優

書評誌で紹介されていた初めて読む作家の作品。副題「伊豆中周産期センター」、帯に「現役医師が描く傑作医学エンタメ」とあるとおり、静岡県三島の南の伊豆長岡にある伊豆半島一帯の高度産科医療を担う大学病院分院が舞台で、そこに配属になった主人公の若手医師の日々の葛藤と成長を描いた小説だ。パワハラ、頑固者、保守的と悪名高い上司の教授のもとで、地域医療最後の砦として激務をこなしていく中で、先端医療とは何か、そもそも医療とは何かを様々な体験を通じて考察していく。先輩医師、頑固者の教授の真の姿が次第に明らかになる中で、読者も主人公同様の気づきを体験していく。特に、教授の悪評の原因となっている教授による「病院内ルール」の真の意味が明らかになる終盤、医師不足に悩む地域医療の難しさ、異例づくめの医療現場で医師が直面する葛藤、先端医療に重きを置いた大学病院内の歪みなど、いくつもの課題を読者は知ることになる。とにかくお医者さんという仕事の尊さを強く教えてくれる一冊だった。(「あしたの名医」 藤ノ木優、新潮文庫)
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