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シューマン 交響曲第4番/セル&クリーブランド管弦楽団

2007年07月30日 23時35分58秒 | クラシック(一般)
 数ヶ月前に出た「ジョージ・セル・エディション」の一枚。このシリーズは40年代後半から50年代中盤あたりまでのセルとクリーブランドのモノラル音源群を復刻したものだが、United Archivesというレーベルから出ている(日本ではキング)。本コンビの音源というとCBSというイメージが非常に強いが、この時期はどのレーベルに所属していたのだろう?。それともCBSからOEMした音源でも使っているのだろうか?。このディスクに収められたのはシューマンの2番と4番だが、現在47年に収録された4番から聴いているところである。実はこの4番はステレオの方もまだ第聴いていないのだが、こちらはモノラルを先に聴いて、あとでステレオの方と聴き比べしてみようという趣向だ。

 さて、この4番だが47年録音ということで、当然モノラルであり音質は当然かなり貧弱なものになっている。一応最近のリマスタリング技術で音圧を上げて、しかもかなりきつめにノイズ・シェービングをかけているから、表向きSN比は高いし、それなりに音にも迫力はあるが、やはり残響か突然きれる不自然な音の減衰ぶりや、レンジの狭さはいかんともしがたいものがあるのだが、それでも聴こえてくるのは、紛れもなくセルとクリーブランド以外の何者でもないサウンドになっているのはさすがというべきだろう。47年というと有名な独裁者セルによるクリーブランド管の大量解雇があった直後らしいのだが、既に各パートがクリアに浮き上がるきりっとしたタイトなアンサンブルになっているし、清潔そのものなフレージングもセルらしいものになっているのである(ついでにいえば、このオンマイクで細身な音はCBSらしいものともいえるような気がする)。

 したがって、この暗い叙情とうっそうとした雰囲気が印象的なこの交響曲も、このコンビにかかると、やけに均整のとれたスタンダードな交響曲に聴こえてくるのはやはり「演奏の妙」という感じがする。ほとんどマーラー的な破天荒な振幅にスポットを当てたバーンスタンとウィーンのそれとは、あらん限り対照的な演奏という感じで、すっきりとして曖昧さがなく、かつ決然としたムードで第1楽章は進み、第2,3楽章は古典的な中間楽章のフォルムにすっきりと収めつつ、第4楽章に一気に進んでいくという感じだ。しかも、これらには全く違和感というものがなく、説得力抜群なのは、さすがにこのコンビだとしかいいようがない。
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