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DEEP PURPLE/Concerto for Group & Orchestra

2007年07月14日 15時01分15秒 | ROCK-POP
 ディープ・パープルこのところ、黄金時代の諸作に続いて、最初期のアルバム群もボーナストラック満載の構成でリマスターしているが、これもその一枚。このアルバムの評価が地獄のように低い日本ではそうでもないだろうが、音楽的陣容としてはディープ・パープル史上で初期から中期にかけての橋渡しのような作品、かつまたロイヤル・アルバート・ホールにおけるオーケストラとロックバンドの共演というエポック・メイキングなコンサートの実況録音盤であり、本来であれば記録面そして音楽面から極めて貴重なものとなるはずであった。ところが、これは従来のアナログ盤やCDも含めていえることなのだが、大編成+ライブという悪条件を考慮した上でも、聴こえてくるのはあまりひどい音質の演奏であったから、これはまさに待望のアイテムであった。

 構成はバンドだけパフォーマンスで、「ハッシュ」「リング・ザット・ネック」「チャイルド・イン・タイム」を収めた第1部、そしてロイヤル・フィルとの競演による「グループとオーケストラのための協奏曲」及びアンコールが収録された第2部がそれぞれのディスクに分けられた2枚組となっている。オリジナル盤は第2部のみを収録したものだったが、CDになってからは「リング・ザット・ネック」と「チャイルド・イン・タイム」がボーナストラックとして収録され、今回は「ハッシュ」とアンコール(「協奏曲第3楽章の後半」)を加え、いよいよあの伝説的コンサートが全容が明らかになったというところだろう。なにしろメンバーのリニューアルにより、

 さて、気になる音質であるが、どうやらこれはリマスターではなく、マルチマスターからのリミックスを施したらしく、目を見張るような音質向上が図られている。まずなんといっても驚くのはオーケストラのバランス。オリジナルはロック・バンドの後方にモノラルのオケがべったりとくっついてもやもやと鳴っていたという感じだったが、今回はそのあたりが一新し、左側にヴァイオリン群、右側にヴィオラとチェロというオーソドックスなオケの配置が明瞭に聴き取れ、なおかつホールの残響もふんだんに取り入れた立体的なものに変貌しているのである(残響についてはデジタル・リバーブで付加された可能性が高い)。もちろん、近年敢行された再録音に比べればレンジはナロウだし、鮮度という点でももどかしいが、それでも旧盤に比べれば雲泥の差である。ついでにいえば肝心のバンド側の演奏も非常にソリッドで腰の強い低重心の音質に様変わりしており、立体的なオケの音響とあいまって、全体としては従来の腰高の音調にものからきわめて安定度の高いものに変わっているといえよう。

 従来私はオリジナルの演奏について、まともに聴くには音質とオケの演奏に不備が多すぎて問題があるという立場をとってきたのだが、こうしたリニューアルした音質で聴くとオリジナルの演奏もなかなかどうして素晴らしい。音質がリニューアルしたからといって金管のとちりやアンサンブルの乱れがなくなるワケではないが、響きが充実しただけでも全体の印象というか聴き映えが違うは意外な程だ。付け加えれば、1970年、バンド自体がリニューアルし、心機一転バンド内のパワーが沸騰しそうなくらいに、盛り上がっていた時期のパフォーマンスなだけに、バンド自体のテンションの最高潮である。第1楽章のバンド演奏による主題の再提示の部分など、おそらく彼らの残した最高のパフォーマンスのひとつなのではあるまいか。

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2003年に書いたものですが、何故か書きかけのまま放置してありました。ちょっと前にこのアルバム(99年のLSOとの共演盤も一緒に)をWalkmanに入れて、出張先に赴く電車の中とかで、けっこう聴きまくっていたので、書きかけの部分を補完してのっけてみました。
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