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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ワルター・ワンダレー/サマー・サンバ

2007年07月04日 23時14分27秒 | Jobim+Bossa
 そういえば、この手の「サマー・ミュージック」として定番であるにもかかわらず、去年はおろかけっこう網羅的にチョイスした一昨年も何故だこの人はとりあげていませんでした。ワルター・ワンダレーはボサノバ・ブームに涌くアメリカに、ジョビン、ゲッツ、ジルベルトに続くボサノバのスターとしてクリード・テイラーが仕掛けたブラジルのオルガニストです。ジョビンはもともと作曲家、ゲッツはサックス、ジルベルトはボーカルですから、それとは違うスタイルということで、おそらくオルガンをもってきたんでしょうが(ひょっとすると「ボサノバのジミー・スミス」みたいな発想だったのもかもしれませんが)、やはりこういうところでオルガンを持って来るクリード・テイラーのセンスは冴えていたという他はありません。

 ともあれ、ワルター・ワンダレーといってもなんだか分からない人でも、1曲目の「サマー・サンバ」を聴けば、だれでも「あぁ、あの曲か」と思うくらいこの曲の知名度は高いじゃないですかね。海の向こうは分かりませんが、単に日本での知名度という点だけなら、この曲「イパネマの娘」、「マシュケナダ」と並ぶボサノバのピック3という気もします。このアルバムはその大ヒット曲をトップにほぼ全編に渡ってワンダレー独特のシンコペがリズミカルに躍動するオルガンがフィーチャーされています。私のようなロック・ファン上がりの人間だと「オルガン=ハモンド・オルガン」というイメージがありますが、ワンダレーのオルガンは、レズリー・スピーカーを通さない、ツルっとした音色に特徴があり、これが前述のリズミカルさと相まって独特の清涼感を感じさせるサウンドになっていると思います。ついでに書くと、バックにブラス隊をつけている曲が多いですが、ワンダレーはボサノバというより、どちらかというとサンバ系の人なので、賑やかさはワンダレーの音楽にぴったりとマッチしているのもこのアルバムの特徴かもしれません。

 あと、個人的に好きな曲はワンダレーのピアノをフィーチャーした「レイン」でしょうか。ワンダレーは元々ピアニストですから、こういう曲もたまにやる訳ですが、ヨーロッパ映画を思わせる洗練されたロマンティックさはなかなかですし(この亜流みたいな音楽を時たま坂本龍一がやったりしますね)、途中、トロンボーンがフィーチャーされるあたりヴァーブ一連のBGM路線にもしっかりクロスしていることを感じさせ、ワンダレーの職人のセンスの良さを感じさせるところでもあります。
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最近読んだ本

2007年07月04日 00時38分30秒 | Books
 出張続きで電車で移動することが多い毎日なので、最近はよく本を読んでいる。いくつか取り上げてみる。

・中野翠(著)/今夜も落語で眠りたい
・桂文我(著)/落語通入門
 落語関連の2冊、前者は志ん生、文楽、志ん朝あたりを中心にした落語のスタンダードの紹介を兼ねたエッセイ風の読み物で、この3人に対する愛情がよく伝わる楽しい本だ。自分は「通」ではないので、この3人しか好きじゃないみたいなスタンスもおもしろいし、落語は夜寝る前に聴くというのも、なんか分かる気がするし、読んでいて楽しい本だった。後者は江戸時代から現代までの落語の歴史を概観した読み物だが、なにしろ落語というライブなメディアが題材だから仕方ないともいえるが、大昔の落語家については記述がちときまじめすぎるかなぁと思った。

・安藤健二(著)/封印作品の謎
 主に特撮系の映画やTVで、存在そのものが封印されてしまったいくつかの作品について、それが封印されるまでプロセスを追ったノンフィクション。ただし、この手の作品はだいたいは似たような経緯で封印されるので、後半にいくほど「またかい」という感じにはなる。まぁ、それだけ「日本特有の事情」というのが浮き彫りにされたともいえるのだが。

・リチャード・ドーキンス(著)/神は妄想である
 これは新書ではなく堂々たるハードカバーの大作である。神が存在しておらず、概念そのがすべからく人間にとって害悪であることを様々な視点から、論証している。イギリス人特有の皮肉っぽい文体に加え、ペダンチックな引用の数々などのせいもあって、日本人の私には書いてあることの半分くらいしか理解できなかったけれど、神が存在していることを証明する有名な定理みたいなものに反駁するくだりなどはおもしろかったかな。あと、これを読むと欧米人にとって神というのは、いかにどでかい存在であり、特にアメリカでは日本人には想像できなくくらい、異様な存在感あることがかよくわかったりした。
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