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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

トルド・グスタフセン/チェンジング・プレイセズ

2005年01月30日 23時53分32秒 | JAZZ-Piano Trio
 ヨーロッパ的美的感覚横溢のピアノ・トリオってことで、最近、欧州ジャズ・ピアノ・トリオにご執心な私としては、今、評判のトルド・グスタフセンを聴いてみました。とはいっても、今回購入したのは出たばかりの「ザ・グラウンド」ではなく、2003年のデビュウ作「チェンジング・プレイセズ」の方です。

 よくわからないんですけど、グスタフセンはECMのアーティストということもあってか、一般的には「21世紀のキース・ジャレット」とか「キース・ジャレットの後継者」みたいな形容で売れてる人らしいんで、こっちとしては、ティエリー・ラングの体温をいく分低くしたような音楽なんじゃないかと、勝手に予想していたのですが、一聴してみると確かにそういうところもうありますけど、「この人、キース・ジャレットっていうより、ジョン・ルイスだよなぁ」ってこと。

 いかにもヨーロッパ的な透明感だとかロマンティックなところは確かにあるんですけど、キース・ジャレットのような天衣無縫さとか熱気などとはほとんど無縁、非常にストイックで静謐、時に室内楽的にインティメートな音楽を展開するあたりはまさに「21世紀にリファインされたジョン・ルイス」って感じ。1曲目など私にとってはまるで「ジャンゴ」聴こえましたし、ラテンなどやっても、あまりハメをはずさず、端正に音楽を進行させていくあたりの、若いクセして妙にジジ臭くて(笑)、なんだか、50年代のルイスっぽくって、勝手に納得しているんですけど、的はずれですかね。

 とはいえ、リスナーの既視感を誘うような情景を、各曲ごとになにげなく作り出してしまうセンスはなかなかのもの。「これ1枚でいいや」と思わせないで「ぜひ次も聴いてみたい」と思いましたから、その魅力をはっきりこうだとは今の段階ではうまく表現できませんが、ともかくなにがしかの大きな魅力を感じはします。

 ただし、2作目ではもう少しピアノ・トリオの機動性だとかダイナミズムのようなものを表出してくれるとうれしいんですけどね。
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エンリコ・ピエラヌンツィ /メレディーズ

2005年01月25日 00時21分55秒 | JAZZ-Piano Trio
 今日はエンリコ・ピエラヌンツィについて書いてみたいと思います。

 彼はイタリアのジャズ・ピアニストで、現在50台後半くらいだと思われます。彼のカタログは非常に豊富なようですが、目下のところ聴くことができたのは以下の6作品で、未だ全貌を掴めるような段階ではないと思うのですが、とりあえず聴いた作品はハズレがありませんでした....というか、どれもとても良いです。

・Meridies (`88)
・The Night Gone By (`96)
・Chant Of Time (`97)
・Infant Eyes -plays W.Shoter- (`00)
・Play Morricone 2 (`02)
・Fellini Jazz (`04)


 今、聴いているのはスペース・ジャズ・トリオ名義で出された「メレディーズ」ですが、後年のビル・エヴァンスやドン・フリードマンあたりと共通する透徹した感触というか、一種抜けきったような美しさという点では、いささか遜色があると思いますが、その分、ピアノ・トリオという、いわば最小のフォーマットの機動性を生かした躍動感や小気味よさ、そしてある種の覇気のようなものについては、私が聴いた6作品の中では一番のような気がします。

 したがって、アルパムでは比較的アップ・テンポなものが良いような気がします。1曲目では、メランコリックな冒頭のテーマから、ベースのソロ、そこから再びピアノ・ソロにバトンタッチしてしばらくテーマを展開した後、一気にテーマの回帰まで駆け抜けるよう進んでいくあたりの展開はスポーティーな躍動感に富んでいて本当に魅力です。さらにアップ・テンポで進む2曲目ではフリー的な手法を応用し、フリーっぽいパラけた感じを、崩壊寸前できわどくまとめたセンスが抜群です。また、スタンダード・ナンバーである4,5曲目は彼自身のスキャットを絡めているあたりが、ちょっと60年代のイタリア映画音楽の影響?を感じさせて、おもしろいところかもしれませんね。また、表向きブルージーなスタイルをとりつつ、ブルース的なアーシーさはきれいさっぱり脱色して、ある種のアブストラクトな音のぶつかりあいからくるダイナミズムのようなもので楽しませる7曲目。あの有名なスタンダード作品をビル・エヴァンス風ヴァースから始め、本編が進むにつれ、躍動感とともにテーマをバラバラに解体してしまうプロセスはピエラヌンツィらしいとしかいいようがないものです。

 そんな訳で、「メレディーズ」はどちらかといえば、ピエラヌンツィの動的な部分をクローズアップした作品といえそうです。

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欧州ピアノ・トリオ

2005年01月23日 23時29分57秒 | JAZZ-Piano Trio
 最近、ヨーロッパのジャズをよく聴いてます。ヨーロッパのジャズといっても、ECM系とかフリーとかではなくて、日本の澤野工房、ディスク・ユニオン、その他マイナーレーベルがゲリラ的に発掘している日本人の好みにあったピアノ・トリオの作品です。

 アーティストでいうと、ティエリー・ラング、エンリコ・ビエラヌンツィ、ヨス・ヴァン・ビースト、ピーター・ローゼンダルあたり、これにウラジミール・シャフラノフとかOLに大人気のEJTあたりもプラスしてもいいかもしれないですけど。

 これらのピアノ・トリオに共通しているのは、ビル・エヴァンス流のリリシズムと端正さ、あとキース・ジャレットが時に披露するようなロマンティックさや透明感を持っているところじゃないかと思ってます。まぁ、そもそも、そういうのをめっけてくるんだろうでしょうけど、とにかくみんな絵に描いたように、独特なひんやりとした感覚があるんですね。

 実はその昔、ペーター・バウマンがプライベートというアンビエント系のレーベルを始めた頃、企画したオムニバス・アルバムで坂本龍一やエディー・ジョブスンが参加した「ピアノ・ワン」というのがあって、そこに入っている曲でも、とくにヨアヒム・キューンの曲がよかったものだから、こういう路線でピアノ・トリオでやってような音楽はないものかと、かれこれ10年以上探すともなく探していた訳ですけど、ようやくその鉱脈にたどり着いたかな....という感じがしないでもないです。

 まぁ、かのヨアヒム・キューンの怜悧な耽美さあたりと比べてしまうと、どれもいささか薄目かなと思わないでいもないですけど、ティエリー・ラングとエンリコ・ビエラヌンツィは収穫でした。日本だけて売れるのがよく分かります。過渡に硬質になるのでも、甘口に流れる訳でもなく、頃合いのところでリラクゼーションと緊張感をいきつもどりつするあたりは、アメリカ流の脂ぎったジャズとは異質な美感で、聴いていて実に心地良いです。こういうのって、ひょっとすると日本人にとってだけ、絶妙なポジションかもしれませんね。
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