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シューマン 交響曲全集/セル&クリーブランド管弦楽団

2007年07月23日 23時04分11秒 | クラシック(一般)
 これもマリナーの全集と同時に購入したもので(他にサヴァリッシュ)、セルとクリーブランドによるシューマン交響曲全集である。このコンビによるシューマンは昔から定番のひとつとして有名だが、1,2,3番と聴いてきて、今、3番を聴いているところだが、その圧倒的な素晴らしさに感服した。とにかくなにかと晦渋で、時に聴きどころが一体何処にあるのかわからなくなるようなところがないでもない、これらの作品群をまるで疑問の余地のない名曲として演奏しているというか、聴かせてしまうのだ。

 テンポは総体的には「もの凄く早い」と思う。全編が一陣の風のように過ぎていくが、この種のテンポの早い演奏にありがちな不自然さが全くなく、感触はナチュラルそのもので、何の違和感ない....どころか「これだ」と膝を打ちたくなるようなものなのである。セルの演奏は常にフレージングが清潔そのもの、アンサンブルはタイトで精緻、かつサウンドは軽合金のような質感があって、一種独特な特徴があるのはいつもことだけれど、この演奏ではこれらの特質が全てプラスの方向に作用した希有な演奏といえるのではないだろうか。
 それにしても、あのモヤモヤとしたシューマンのオーケストレーションがセルにかかると、どうしてこんなにクリアで見通しがよく、聴くべき音を迷わずくっきりと浮かび上がらせ、しかも背後に回った音の意味をリスナーにごく自然に感知させるようなバランスで演奏できるのだろう?。

 これまでの例えでいうと、セルのシューマンはさしずめメンデルゾーン的な軽やかな幻想性親和性をもった解釈といえるかもしれないが、それよりシューマンのピアノ曲を聴いているような雰囲気があるといった方が的確か。音質は収録が60年代初頭、更にかなりノイズをシェーピングしたリマスタリングらしく、音のシャープさ、クリアさは微温的なのが気にならないでもないが、この素晴らしい演奏にはそれも忘れようものだ。これは絶対にSACDを買おう....って既に注文済だが(笑)。 
コメント (2)
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