和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

下村脩。

2008-11-07 | Weblog
下村脩(しもむらおさむ)氏(80)。
ノーベル化学賞を受賞されることになった下村氏。
朝日新聞10月10日には、下村氏を囲む国際電話座談会が載っておりました。
そこの最後に黒田玲子氏がかたっております。
「発光のすばらしい色の理由が確かめたくて、85万匹ものオワンクラゲを集めて研究したというのが感動的。若い人たちにも励みになるのでは、と思っています。」

では、産経新聞10月9日に生い立ちの記事。

昭和3年8月生まれ。
京都府福知山市で生まれた。陸軍将校の長男で幼少期は満洲、大阪で過ごした。中学のとき長崎へ疎開し、転校初日に学徒動員で軍需工場へ駈り出された経験を持つ。16歳のとき原爆が投下された。終戦後も中学の卒業証書がないため、高校に進学できなかった。
行くあてもなく途方に暮れていたところ、原爆で破壊された長崎医科大付属薬学専門部(現長崎大薬学部)が、たまたま近所に移転してきた。『機械が好きで、船の設計をしたかった。薬なんて何の興味もなかったが、ほかの選択肢がなかった』。不本意だったが、同専門部に入学、首席で卒業した。就職しようと、製薬会社の面接を受けたが、『君は会社には向かない』と忠告され、大学に残った。『上の人の話を率直に聞くような人間じゃない。そうかといって、人と争う気もないし、競争は嫌い』。以前、産経新聞の取材に応じた下村さんは自分の性格について、そう語っていた。

読売新聞10月9日には、その薬学部時代の同級生にインタビューしておりました。

 同級生の阿部道夫さん(78)(大津市)は『食料もなく苦しい時代だったが、彼はすごい秀才。学者肌で、教授や教科書の解説をうのみにせず、自分の考えで判断していた』と振り返る。1年上の長崎県佐世保市の薬局経営、今上亨さん(79)は『周囲の学生は遊びに興味を示すのに、研究の虫だった』と懐かしむ。他の学生よりも頭一つ背が高く、さっそうと歩く姿が印象に残っているという。


もう一度産経の10月9日にもどりましょう。

 生物発光との出会いは名古屋大の研究員時代、教授の薦めで甲殻類のウミホタルを研究したのがきっかけ。米プリンストン大が20年かけてもできなかった発光成分の結晶化にわずか1年で成功、頭角を現した。『自分はアマチュア・サイエンティスト。それがかえって良かったのかも』と、穏やかな笑顔で謙虚に振り返る。趣味は美術鑑賞。対極にあるものが好きな理由は『科学者として正しいゆがみのない思考力を持つためには、科学とまったく違う趣味を持つのがよい』からだという。主に印象派のデッサンや水彩画、版画に興味があり、時間があれば、美術館や町のギャラリー、古本屋をのぞく。現在はマサチューセッツ州で妻と2人暮らし。子供は1男1女。米国での暮らしはもう45年になった。妻の明美さんは薬学部の後輩で、ともに渡米し、下村博士の『助手』としてクラゲの採集や実験を手伝った。


10月10日朝日の座談会にもどりましょう。
黒田玲子氏はこう語ります
「ノーベル賞は、素晴らしい成果があって、その仕事を最初にやった人は誰かとたどり、その方に贈られるものと思います」
宮脇敦史氏は
「共同受賞者のロジャー・チェン教授は、十数年来のつきあいで、よく2人で下村先生のことをうわさしていました。『孤高の人だ』と。米国の科学スタイルは、議論の結果、得られるコンセンサスを重視します。一方、下村先生は、ひたすら生物発光のしくみを突き詰めていった。賞も無頓着で、そこが先生らしい。・・自らを『アマチュア・サイエンティスト』と表現していましたが、自然に対して無垢である、そんな感じですね。」

この座談会は、他の方が下村先生の紹介をしている形です。
そのあとに下村さんへとインタビューが少し入ります。
ここでは、そのほとんど全文を紹介。

――富山湾のホタルイカの研究をされていると聞いています。
下村:地球上に発光動物は無数にいますが、発光のメカニズムが分かっているのは8種類ぐらいです。ホタルイカは三重大の寺西克倫先生が一生懸命やってくれて、別の研究者が発表した前の報告が間違いだったと分かりました。生物発光に関しては、うその論文がたくさんあります。査読者がいても、だれも見抜けない。なぜかっていうと査読者もよく知らないから。回してくれれば、見抜いてあげるんだけど、だれも頼んでこない。
――今後は依頼が来るのでは。
下村:これからも来ないんじゃないかな。恐れをなして。穴が見つかるとか言って。今は、論文を数多く載せることが大事なんでしょうね。
馬渕:イクオリンとGFPで、何かやり残した仕事はありますか。
下村:できることは全部やりました。たんぱく質の詳しい研究は、分野が違う。やりたいとは思わない。
――若い人にアドバイスをお願いします
下村:興味があることだったら、どんどんやってやり遂げなさい、と。
難しいことがあっても乗り越えなさい、と。
近頃はね、初めっから難しそう、とやらない人がいる。
おもしろいことがあったら、難しくてもやる勇気がないと。
女の子は割に元気がありますけどね。
特に男の子はちょっと意気地のない人が多いですね。


産経新聞にも若い人への言葉が載っておりました。10月9日

ちょうど1年前、下村さんは母校の長崎大薬学部で講演した。・・・
『もう少し、若い学生とじっくり話したかったなあ』。
長崎大を後にする際、名残惜しそうな様子だった。
下村さんは「『難しいからやらない』という発想が一番嫌い。
物事は難しく見えても、できてしまえば簡単なものだ」と常々思っている。
若手研究者には「研究をやり始めたら、できるまでやめるな。
一度ギブアップすると、くせになる」とエールを送る。


あれあれ。今回も引用だけになりました(笑)。
コメント
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