ビバさんのさんぽ道

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2015年秋仁淀川の旅(5)安居渓谷(1)

2015-10-14 01:05:26 | 土佐の国
沈下橋を見て川口橋まで戻り、そこから仁淀川の支流土居川を遡り、池川の集落を通り、さらに支流、安居川に沿ってくねくねと山道をたどって行きます。
途中、何軒かの民家がある一帯があり、川の側に旧安居(やすい)小学校がありました。ここは宮尾登美子さんが17才で小学校の代用教員になって初めて赴任した学校です。その頃の経験が小説「春燈」の中に描かれています。宮尾さんがバスから降りて小学校まで川に沿った狭い道をどこまでもどこまでも一人で歩いて行った道、その道を自動車で走っていきましたが、曲りくねった山道なので、対向車とぶつからないように曲がり角ごとにクラクションを鳴らしながらそろそろと進んで行きました。
安居小学校は1875(明治8)年に設立され、1997(平成9)年に閉校になりましたが、校舎はまだ残っています。

小学校跡からさらにだいぶ長く走って、ようやく安居渓谷の入口にたどり着きました。



安居川の流域にはたくさんの滝がありますが、渓谷に入ってすぐにあるのがこの「みかえりの滝」です。千仞橋を渡って振り返った時に遠くに見えます。立ち去る時に思わず振り向いてもう一度見たくなるという意味からつけられた名前だそうです。



先ずは今夜泊まる「宝来荘」でお昼を食べました。



焼魚定食になっているアメゴが水槽で泳いでいました。
宿に荷物を預かってもらって、渓谷散歩に出かけました。



宝来荘のすぐ近くに架かっているつり橋、蓬莱橋。



橋の上面中央は網目状になっているので、足の下に川の流れが見えて、ゾクゾクします。



水が澄んで、とても美しい~。
あまりに水が澄んでいるので、魚のえさになる苔も生えず、安居渓谷ではアメゴもアユもあまり住んでいないそうです。






「荒男谷」という名のごっつい岩がごろごろ転がっている所を通り、






川に沿って県道を登って行くと、「東陸(とうろく)様」の祠がありました。
その昔、100匹のオオカミに襲われながらも、出産直後の妻を守って闘い、99匹のオオカミを倒したが、最後の1匹に食い殺されてしまったという男の伝説から、今は安産の神様として祀られているものです。



その横に石碑があり、
「正徳より昭和まで尊き銅堀りし安居の村よ 永遠に偲ばむ。平成十三年盛夏」と書かれています。



別の所に「安居銅山跡ご案内」の看板もありました。
「安居銅山は正徳四年(1714)幕府の聴許を得て、伊予西条領大町庄屋田中勝丞の採鉱出願によって始まる。(産出量不明)
安政元年五月(1818)再び土州国豊永郷の人、内田○(判読できず)右衛門により本格的に採鉱が始まる。
此の銅山には文政四年当時100軒730人の労働者とその家族が住み○○採鉱がなされた。
文政七年(1824)六月安居銅山は大暴風で崩壊、潰れ口東西三十間余り、高さ二町余り、潰屋十三軒、この大風雨で死者二十一名、負傷者十一名を出す。
災害後の経営は思わしくなく、天保八年小屋は焼き払い○品は売り払う、の記録がある。
天保十二年(1841)土佐藩は幕府に休鉱を申し出る。
その後、明治に至り、再興。盛況を極め、大正、昭和十九年頃まで続いた。
戦時中は韓国籍の人々も多く採鉱に従事したようである。場所はここより三キロほど上流。そこより徒歩で川を渡る。今なお残る製錬釜、学校、山を登ると坑口、坑道、野焼き釜、吹屋、水路、天保十一年○○された手洗鉢等、当時が偲ばれる史跡がある。」

この看板もだいぶ前に建てられたようで、古くて読めない部分が多く、今はこの史跡がどうなっているのかはわからないけれど、まさしく仁淀川町の産業遺産です。

四国の中央部分には別子銅山と同じ鉱脈があり、高知県内にはこの他にもたくさんの鉱山があったようです。安居銅山は藩政時代は土佐藩の重要な資源であり、廃藩後は民営となって、1938(昭和13)年からは日本鉱業株式会社が経営していました。太平洋戦争の開始とともに政府の南方政策に基づき、よりよい鉱物資源を求めて東南アジア(特にマレーシア)への進出をすることになり、日本鉱業は1942(昭和17)年に安居銅山の経営から手を引き、閉山となりました。

最近になって、池川町の町興しを目指して、安居銅山への道を整備し、廃鉱を訪ねるツアーができないかと探る試みもされているようです。



とにかく、安居川を遡って、上流にあるという「昇龍の滝」を目指しましたが、かなりの急坂になってきたので、この橋のたもとで断念。



この辺りの野生の花を楽しんで来ました。




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