透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

市町村章と楕円

2006-05-14 | D 新聞を読んで

以前、新聞(信濃毎日新聞を略記します)に合併後の長野県81市町村が地図と共に紹介されていました。そこに市町村章(シンボルマーク)も載っていました。伊那市だけは市章選定中となっていましたが、昨日の新聞に住民投票で1位になった案が載っていましたからまもなく決定するでしょう。

市町村章を見ていると気がつくのですが、大多数に真円(まん丸)やその一部が使われています。長野市、松本市、塩尻市などもそうです。円によって住民の和や協力などをおそらく表現したのでしょう。直線やその他の線だけでデザインされたものはごく少数です。

ところが今回の大合併で新しくできた市町村章には真円はあまり使われていません。新しい市町村が長野県に八つできましたが、そのうちの安曇野市、木曽町、千曲市、そして東御町の章に楕円が使われています。楕円は以前からある県内の市町村章には全く使われていません。おそらく他県でも事情は同じでしょう。

昔はデザインのツールとしてコンピューターがありませんでしたから当然、手描きです。デザイナーが仮に楕円をイメージしたとしてもそれをきちんと表現することができなかったのでしょう。手描きで数学的に規定できる図案は円と直線の組み合わせくらいに限られてしまう。そういう事情によるのだろうと私は思います。

新しい市町村章は当然コンピューターを使ってデザインされています。以前テレビでいくつかの市町村章に応募して当選したデザイナーが紹介されていました。もちろん手描きの案を応募した人もなかにはおられましたが。

建築のデザインのツールとしてもCADを使うことが当たり前になり、最近では平面形が楕円の建築も出来るようになりました。

コンピューターを使用することが当たり前になった現在の状況が市町村章に採用される楕円にも現れているんだ・・・。

新聞を眺めながら、そう思っていました。