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富塚孝一
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ローライ35Tの巻

2022年02月03日 10時10分00秒 | ブログ

生産終了をしたローライ35を1974年に復刻したのがローライ35Tということですね。基本的にはローライ35と同じですが、ローライ35系を多数見ているとパッと気になるのは上下カバーの質感です。

 

ローライ35のトップカバーの材質は真鍮に梨地クロームが施されていますが、Tではアルミに梨地アルマイトとなっていて、何となく白っぽく製品に重みがありません。実際にアルミカバーは真鍮より軽いので、手に持った時の重量感も違うのですけど・・過去に分解歴はありますが、何故かヘリコイドグリスが完全に抜けています。

ローライ35はどの時代のものが一番良いのか? と質問されたりしますが、「何を重要視するか」によっても変わってくるのではないでしょうか? 画像のように巻上げの平ギヤが真鍮製になっていますね。ドイツ製の初期は全て金属製のギヤが使われていますが、コストダウンのためでしょうか下部のカムと一体の樹脂製に変更されますが、沈胴を伸ばさずに無理に巻上げたりすると樹脂の平ギヤが破損する不具合が発生します。その対策として下部の樹脂製カムを残したままで平ギヤのみ真鍮製に変更したものと思われます。巻上げギヤの強度の観点から見ると、ギヤを変更された後期生産のローライ35SやTが良いということになりますね。

作業は一般的な作業をします。ファインダーはドイツ製のプリズムの見えが良いという方も多いですね。しかし、内部腐食が発生すると清掃することが出来ません。シンガポール製からは一般的なタイプになりますが、対物・接眼レンズの曇りが発生しますが清掃をすることは可能です。清掃をしたユニットを組み込みます。

沈胴の動きが気になるので分解して点検します。さすがに製造が新しいのでスリーブは比較的きれいです。(多少の線キズあり)

 

沈胴のフェルトを調整してフィルムレールを戻します。

 

 

裏蓋もアルミなので白っぽいです。フィルムカウンターが正規の位置に戻っていません。

 

過去に分解されていて治せずに諦めたようです。カウンター板を戻すバネの絡みも作動不良の一因ですが、ストッププレートをネジ留めするとカウンター板が固着する。クリアランス調整用のスペーサーが取り去られているようです。また、ピンセット先にあるはずのOバネがありません。そもそもセットする落し込みも加工されていないので、加工を省略されているのです。無くても問題はないかと思いますが、裏蓋を押し込んだ時の「コクッ」というロック感もなくなりますね。

これはローライ35の画像です。Oバネが入っているのがお判りでしょうか。

 

 

裏蓋の印字は彫刻からタンポ印刷になっていますね。コストダウンですかね。材質の違いがお分かりになるか・・

 

ローライ35系はレンズにチリが入りやすいですが、この個体も大量に入っていました。シャッター羽根の部分には外気と通じる隙間がありますので、静電気によってもチリを呼び込んでしまうのでしょう。

 

一般論として露出計など電気パーツは製造が新しいほど信頼性は高いですね。ドイツ製の初期型が人気ですが、Cds素子に不良が多くなっています。レンズはローライ製のテッサーですがツァイス製とどのくらい差があるのでしょうね? 組立はドイツでもシンガポールでも品質管理にはそれほど差はないと思います 。ドイツ製の個体でもシャッター羽根に工場での組立ミスを見つけたこともありますし、ドイツ製が絶対に良いとも思いません。それぞれのモデルに一長一短がありますね。

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