今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO プレスマチックの針が・・の巻

2017年04月17日 16時33分03秒 | ブログ

昨日の日曜日は関東地方は気温が上がって良いお天気になりました。それではと冬眠していたFS1の古いガソリンを抜きました。新しいガソリンを入れて走り出そうと思います。

 

でも、今日は体を動かしたい気分ですので、ルマン号を磨いて昭和記念公園の立川口まで走りました。ソメイヨシノは終わっていましたが、枝垂桜は満開で、沢山の行楽客がお弁当を広げていましたよ。

 

フィギア模型で有名なコトブキヤの新しい店舗が出来たと聞きましたので、寄ってみましたが、奥のビルです。私の子供のころは青梅線の線路際にあった普通のおもちゃ屋さんだったのですけどね。この場所はフィンカムといって米軍基地のゲート付近でした。歩いている殆どの方はそんなことご存じないでしょうね。いつの間にか私が古くなっているのでした。

やはり運動して帰ると体が軽いです。ではお仕事します。セイコーのプレスマチックですが、当時の高級ビジネス用と言ったところでしょうね。まず、ケースとSSベルトから仕上げておきます。風防ガラスには傷があります。

 

しかし、残念なことにオーナーさんから支給して頂いた純正風防は合いませんでしたので、今回は再使用とします。

 

全体的に傷が多いケースです。

 

 

基本的に手磨きをします。バフ機械を使用すると削り過ぎとなって、オリジナルの雰囲気が変わってしまうのと、そもそも機材と研磨技術を持っていないからです。しかし、問題は時間がかかること・・

 

SSベルトのヘアライン再生と研磨洗浄をしておきます。

 

 

ケースとSSベルトが完成。

 

 

では、時計本体です。この個体は針の置き回りで秒針は動くのに長短針が殆ど動きません。竜頭の針回しが極端に軽いので、筒カナの摩耗でしょう。

 

このキャリバーcal 5146Aは基礎キャリバー5106Aの振動数を19.800回/時から28.800回/時へハイビート化したものですね。カレンダーの瞬間切換が特徴ですが、亀戸製の機械ですからバネが多用されていて、機構が複雑で組みにくいですね。曜車を取り去ると・・複雑な機構ですね。10時付近のスライダーによって瞬間切換をします。

バネを飛ばさないように注意しながらすべて分解洗浄をしたところ。

 

 

では、二番車から組み立てて行きます。竜頭が大きめなのは、中心部分を押すと日送り修正が出来る機構が組み込まれているためです。

 

長短針が置き回りをする原因の筒カナはテストの結果、やはり摩擦が足りませんでしたので、専用工具で締めて摩擦を回復させてあります。

 

香箱と輪列をセットして一番受を取り付けます。

 

 

セイコーの技術解説書では先に組み立てることになっていますが、私は自動巻き機構は最後に組み立てます。一番伝エ車をセットしたところ。

 

仲介車と切換伝エ車をセットして伝エ受を取り付けたところ。

 

 

残念ですが、今回は風防ガラスは傷品を再使用しますので、超音波洗浄とパッキンにシリコンオイルを塗布してベゼルを圧入します。

 

機械をケーシングして回転錘を取り付けます。タイムグラファーで調整後、裏蓋パッキンを新品と交換して裏蓋を閉めます。

 

やっと姿を現した5146-7040。典型的なセイコーデザインの品のある高級ビジネス時計というところでしょうか。現在でも人気のあるモデルですね。

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