花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

自分たちを、中国人、ロシア人、関東軍の犠牲者だと考えたがる

2019-12-28 10:13:31 | Book
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「自分たちを、中国人、ロシア人、関東軍の犠牲者だと考えたがる」

 関東軍は防衛線を大きく南に下げる決定をした時、置き去りにされる満州開拓民はどうなるのかと政府役人に聞かれ、「彼らは自殺するしかない」と答えたという。政府や関東軍に見捨てられ、地獄の逃避行を強いられた開拓民だが、著者はこうも指摘する。「最後に高い代償を支払わされたとはいえ、彼らもまた、短いながらも、帝国による平和を享受したのである。」それにしても創られた夢物語を信じ大陸へ渡り、最後は攻め来る敵の前に捨て去れた開拓者たちが哀れでならない。ルイーズ・ヤング著「総動員帝国」(岩波書店)から。

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