花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

槍で突いても水は流れる

2019-12-31 11:38:27 | Weblog
 「自分の身は、針で刺されても飛び上がるけれども、相手の体は槍で突いても平気だという感覚、これがなくならない限り駄目ですね」
 今月4日、アフガニスタンで用水路を引くなど、長年にわたって復興支援活動を行ってきた中村哲さんが現地で銃弾に倒れました。生前、中村さんはノンフィクション作家・澤地久枝さんとの対談の際、冒頭の言葉を述べられました。(「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」岩波書店刊)

 今年は人の痛みが分からない、分かろうとしない政治家の発言が目立ちました。中村さんの言葉を胸に刻んで欲しい人たちには、おそらく少しも響かないであろうことを残念に思いますが、それがあきらめにつながってしまえば、彼らを利することになり、また同類のそしりを免れないことになります。

 大勢に流されたり無力感に陥らないためにも、中村さんの言葉と一緒に年を越します。来年もあきらめの悪い人間としてやっていきます。

自分たちを、中国人、ロシア人、関東軍の犠牲者だと考えたがる

2019-12-28 10:13:31 | Book
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「自分たちを、中国人、ロシア人、関東軍の犠牲者だと考えたがる」

 関東軍は防衛線を大きく南に下げる決定をした時、置き去りにされる満州開拓民はどうなるのかと政府役人に聞かれ、「彼らは自殺するしかない」と答えたという。政府や関東軍に見捨てられ、地獄の逃避行を強いられた開拓民だが、著者はこうも指摘する。「最後に高い代償を支払わされたとはいえ、彼らもまた、短いながらも、帝国による平和を享受したのである。」それにしても創られた夢物語を信じ大陸へ渡り、最後は攻め来る敵の前に捨て去れた開拓者たちが哀れでならない。ルイーズ・ヤング著「総動員帝国」(岩波書店)から。

縄をなう

2019-12-18 22:06:07 | Weblog
 先日、里山歩きの途中、地元の方から縄のない方を教えてもらいました。先ず数本の藁を使って細い縄をない、基本動作を教わりました。2組の藁束をそれぞれより合わせ、より合わせた部分を互いに巻き付け合い、それを繰り返すことで1本の縄に仕上げていきます。2本のこよりを蛇のように巻き付け合わせていくイメージです。細い縄を作りながら縄をなう原理を理解した後、12月ということもあり、しめ縄作りにチャレンジしました。

 各10本以上の藁をより合わせるのが大変で、なかなかひも状になってくれません。やりながら思ったのですが、適度な太さ、適度な硬さ(あるいは柔らかさ)の藁を最初にセレクトするのがミソのようです。一緒に行った仲間に高校の先生がいたので、「縄をなうのは学校と一緒で、筋の良いのを集められるかどうかが肝心なのではなかろうか」と言うと、笑っていました。結局、出来上がった私のしめ縄はごわっとした感じで、これを飾って家に年神さまが来てくれるだろうかといった感じでした。

 ところで、かつて縄をなうのは農村地帯の季節の行事であったと思います。この時期にはこれをやらなきゃというのがあると、活動のペースが1年を通じて上手く作れると思います。また、「小人閑居して不善をなす」ではありませんが、怠け者を遊ばせない効果もあるのではないでしょうか。

One Team for Our Dreams

2019-12-14 22:51:28 | Weblog
 “One Team for Our Dreams”は、オリンピック・パラリンピック東京2020大会のスピリットです。“One Team”と言えば、ラグビーW杯の日本チームのスローガンとして有名になり、今年の流行語大賞にも選ばれました。

 “Team”、これはなかなか頼もしい響きを持つ言葉です。しかし、それが過度の安心感になってしまえば、もたれ掛りの態度の温床ともなり、チームワークがほころびる端緒につながりかねません。

 来年、TOKYO2020のボランティアを務めます。ボランティア講習会で先の“One Team for Our Dreams”が出ましたが、“Team”のベースとなるのは“individual”(個人)であります。お祭り気分に浮かれるばかりでは、役割は果たせません。ひとりひとりが責任感を持って参加していかなければ、“Team”は機能しないと肝に銘じ、心の準備をしていきたいと思います。