(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「ジャーナリストが目指すべきことは、自分の主観に責任を持つことだ」
水俣病の実態を世界に伝えようとした写真家のユージン・スミスは、客観的であろうとするより、主観から逃れられない自分に責任を持てと言う。彼は、写真を見る人たちへの責任と、被写体への責任を果たせとも語った。自分の責任に対する覚悟があれば真摯さが生まれ、客観的な態度で対象と向き合うことになる。当時、学界の重鎮たちは科学の名の下、病の原因を海に捨てた爆薬だ、腐った魚を食べたため、あるいは農薬が海に流れ込んだとして、熊本大学医学部の有機水銀説を切り捨てた。さて、客観の皮をかぶった無責任は、今ものさばってはいないだろうか。
石井妙子著 「魂を撮ろう」(文芸春秋刊)から
「ジャーナリストが目指すべきことは、自分の主観に責任を持つことだ」
水俣病の実態を世界に伝えようとした写真家のユージン・スミスは、客観的であろうとするより、主観から逃れられない自分に責任を持てと言う。彼は、写真を見る人たちへの責任と、被写体への責任を果たせとも語った。自分の責任に対する覚悟があれば真摯さが生まれ、客観的な態度で対象と向き合うことになる。当時、学界の重鎮たちは科学の名の下、病の原因を海に捨てた爆薬だ、腐った魚を食べたため、あるいは農薬が海に流れ込んだとして、熊本大学医学部の有機水銀説を切り捨てた。さて、客観の皮をかぶった無責任は、今ものさばってはいないだろうか。
石井妙子著 「魂を撮ろう」(文芸春秋刊)から