花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

無力感

2021-04-28 21:31:45 | Weblog
 4月25日(日)投開票の3つの国政選挙で自民党は、不戦敗を含めて全敗でした。27日(火)の朝日新聞朝刊によると、政権内では菅首相の責任論は出ておらず、「大型連休までは結果を騒がれるが、その後は世間も忘れる」と言う自民党幹部もいて、少し前に下村博文氏が心配していた政局となる雰囲気ではなさそうです。

 3つの選挙は、カネにまつわるスキャンダルからの出直しや新型コロナで急逝した現職の補選と、それぞれ特殊事情があり、通常の国政選挙と同じには扱えないかもしれません。ただ、有権者の無力感のようなものが通底してあったような気がします。投票率の低さはその一端のように思います。

 安倍政権から菅政権へかけての間、自民党各議員が官邸の覚えを良くして自己保身を図ろうとする動きを目にするにつけ、「この人に票を投じても国民の代表として働くのではなく、官邸のヨイショになるだけ」と思う人が結構いたのではないでしょうか。誰のために働くか、しかも志の低い腹の底が透けて見えてしまうと、何だか馬鹿らしくなったとしても不思議ではありません。根拠があって言っている訳では全くありませんが、選挙の結果を見てそんな印象を受けました。

 さて、東京は3度目の緊急事態宣言が出されました。初日の日曜日、ニュースでは繁華街の人出が減っていると報じていました。休みが明けた月曜日から今日までの3日間、出勤途中の電車は特に人が減った感じではありませんでした。昼休みにちょっと会社の周囲を歩いてみると、通りを歩く人も飲食店の中も宣言前と変わらないように見受けられました。1回目の宣言で街中がひっそりとなったのとは大違いです。

 政府や都は宣言の発出と解除を繰り返すばかりで、結局は個々人の自粛頼みに終始してきたことから、宣言の効果に対してここでも無力感があるようです。市民一人ひとりに任せるしかないなら、宣言が出ようが関係なく「自分の判断でいきますよ」となるのは当然の成り行きだと思います。

東京プリズン

2021-04-20 20:11:28 | Book
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に  現在休載中ですが・・・)

 「英霊とは、忘れられた人びと、そして忘れた人びと」

 「人は神を必要とする。人は神を利用する。でなければ人など大量に殺せない。」「戦争の規模が大きくなるほど、人は人以上の何かを持ちださなければまとまれないことを知ってしまった。」小説の主人公は、太平洋戦争で人民は「天皇」という神話を信じようとしたと言う。だが、敗戦と同時にその神話はなかったことになった。戦勝国アメリカによって天皇は「神話」から「象徴」へ姿を変えられた。

 「負けるのならそれはしかたがない。でも、どう負けるかは自分たちで定義したいのです。それをしなかったことこそが、私たちの本当の負けでした。」「神話」の名の下、散華の後、忘れられた人びと。「神話」をなかったことにして忘れた人びと。主人公はそれらを忘れず、目をつぶらなければ春は訪れると述べ、この小説は結ばれます。

 「春が訪れる」とは、「同じ過ちを繰り返さない」の謂いかと思います。

赤坂 真理著 「東京プリズン」(河出書房新社刊)から。

組織変更

2021-04-08 19:41:54 | Weblog
 新年度に入るタイミングで組織変更が行われることが多いかと思います。自分の会社も然り、仕事で関係のある会社からも新組織を伝える挨拶状がいくつも届いています。取り巻く環境が変われば、組織も変わる、当たり前のことです。そんなことを毎年繰り返されるのを見ていて思うことがあります。

・しっかりした会社では組織変更もしっかり行われます。組織規程などを作り、役割やミッションを細かく定めます。ただ、組織が出来た瞬間から環境とのズレが生じ出し、一年二年経つとまた組織をいじらなければならなくなります。環境の変化に組織を合わせても、環境の方がその先へ行ってしまいます。

・頻繁に組織変更が行われると、その意図が白けた目で見られるようになるようです。いろいろと考えて新しい組織を作っても、メンバーも周りも「またすぐに変わるんじゃないか」と思い、その結果期待したような効果を生むような動きにドライブが掛からないことがあるような・・・。組織変更を計画した人たちがことさら「やってる感」、「やった感」を出す場合、「白け感」もまた大きいような気がします。

・処遇のためのポストを作るのが目的となった組織変更が上手くいかないのはだれの目にも明らかなのに、もっともらしい理由がついて行われることがあるのは不思議です。

 これらは、「先ず組織ありき」と組織論を考えるのが好きな大会社にありがちな陥穽かもしれません。