花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

平和をつくる沖縄

2023-06-23 21:00:00 | Weblog
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「沖縄というのは非常に力のある平和製造工場なのだと考えています」 

 ロシアのウクライナ侵攻に危機感を募らせ、防衛費増額を支持することは、プーチン大統領の力の論理と同じ土俵に乗って、軍事力で動く世界を認めてしまうことになるのではないか。いろいろな問題が起こる中、放っておけば平和は減ってしまう。だから、補充していく努力を怠ってはならない。沖縄は戦争体験が色濃く残っており、戦争に関する資料を集め、意味を考え、戦争の悲惨さを訴えている。沖縄は平和製造工場である。しかし沖縄は、いまだに不発弾が見つかり、アメリカ軍の基地問題もあり、さらには対中国の盾にもなろうしている。そんな現実を抱えながらも、平和をつくり続けている沖縄は日本の宝だと、作家・池澤夏樹さんは沖縄慰霊の日に思いを述べた

2023年6月23日付・朝日新聞朝刊 池澤夏樹氏へのインタビュー記事から


(インタビュー)沖縄「慰霊の日」に思う 作家・池澤夏樹さん:朝日新聞デジタル

(インタビュー)沖縄「慰霊の日」に思う 作家・池澤夏樹さん:朝日新聞デジタル

 沖縄は23日、「慰霊の日」を迎えた。米軍基地の過重負担に苦しむ島はいま、国際情勢の緊張を理由に、さらなる軍備増強の波に洗われている。戦後78年、この時代の空気...

朝日新聞デジタル

 


縄文人 共生の知恵

2023-06-14 21:05:00 | Weblog
 縄文人は約1万5千年前から約2400年前まで穏やかで平和な暮らしを送っており、その共生の知恵には私たちが学ぶべきものがあるようです。「領土の拡張を求め、戦争に明け暮れる現代の指導者たちは」、「隣の集落との距離も適度にとって、共生の知恵を持っていた」縄文の人びとに学んではどうかと、奈良女子大学教授の武藤康弘さんは本日付の朝日新聞朝刊でおっしゃっています。

 武藤さんが語るところから、縄文びとの平和な生活ぶりを拾ってみます。

・貧富の差が少なく、縄張り意識は強くない。木の実、魚介類、鹿や猪を取り、食料は自然の神様からもらっている感覚だった。
・大きな戦はなく、人を大事に扱っていた。骨折した人や病気の人の面倒をみていたことが人骨の分析から分かっている。
・狩りのリーダーはいたが身分の差はゆるやか、お墓にも身分差は見られない。
・アクセサリー類を使っていておしゃれだった。土器は後期になるにつれ薄く精密になり技術が高度化し、土器製作の専門家がいた可能性は高い。

 その後弥生時代に入ると様子が変わります。武藤さんによると次のような変化が現れたそうです。「自然や人との関係をコントロールしようとして、争いが多くなります。稲作のために田を耕し、水路をつくるのに伴って、縄張り意識も強くなる。日照りは困るので、自然を制御しようとする呪術も増えます。身分や貧富の差が広がり、集落同士の大きな戦争も起きました。」

 稲作と一緒に大陸から鉄器が入ってきて鉄製の武器が作られるようになったことも、争いが増えた理由のひとつに挙げられるかもしれません。攻撃する力を持っていれば、もめ事が起こった際に、それを使いたくなるものです。また、武藤さんがおっしゃる「コントロールしようとして、争いが多く」なることも然りと思います。コントロールする状態を無理矢理維持しようとすれば、新たな軋轢を生むことになります。「自然とも隣人とも適度な距離感を保ちながら、うまく折り合いを」つけていた縄文びとから大切な教えが得られると、私も思います。


縄文時代は平和だった? 現代の指導者が学ぶべき「安全保障論」:朝日新聞デジタル

縄文時代は平和だった? 現代の指導者が学ぶべき「安全保障論」:朝日新聞デジタル

 縄文時代は「平和な時代」だった? 考古学者で奈良女子大学教授の武藤康弘さんが、1万年以上続いた縄文時代の魅力を語っています。国連のSDGs(持続可能な開発目標)に通...

朝日新聞デジタル

 


業務改革

2023-06-07 21:19:00 | Weblog
 組織内で業務改革、業務改善に取り組みだすと、関係するメンバーがにわかコンサルになって、従来業務のアラを指摘し、カッコいい言葉で改革案が示されます。そんな時、業務の今現在の姿だけを見て、「そんなことまだやってるのか」、「これからはこのビジネスモデルに業務を合わせるんだ」と強引にやり方を変えてしまえば、せっかく改革してもいつの間にか元に戻っていたなんてことになりかねません。

 メスを入れたくなるような仕事の仕方であっても、好んでやっている訳ではなく、理想と現実の間で試行錯誤しながら修正や調整を行ってきた結果なのです。そういった経緯を全く考慮せず、カッコいい言葉が先走ってしまうと、新しく始めたものが定着しないまま、歴史は繰り返すになりがちです。

 最近ではビジネスDXがあちこちで言われていて、そういったテーマの会議に入ることがあります。ゼロベースとかビジネスモデルの再構築と言われても、何だか居心地の悪さを感じてしまいます。脳みそがトランスフォーメーションされていないせいか、総とっかえよりも小改善の積み上げの方が効果的に思えます。レボリューションではなく、ピースミールです。カッコいい言葉で切って捨てられたものがゾンビのようによみがえり、カッコいい業務モデルを骨抜きにしてしまわないよう、経緯を踏まえた検討を忘れないようにしたいものです。