花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

飲む前に飲む

2019-05-27 21:45:01 | Weblog
 昨日の日曜日、全国的に5月としては季節外れの暑さとなり、北海道の佐呂間町では39.5度と真夏でも滅多にないような気温を観測したそうです。ところで暑さと言えば、大阪の夏は夜になると風が止まって凪の状態になり、不快指数が高いことで有名です。司馬遼太郎さんの「花神」(新潮文庫)によると、長州藩の村田蔵六、のちに明治陸軍の創始者となる大村益次郎は、大坂・適塾(大阪大学医学部の前身)で学んでいた頃、暑さに辟易する同輩らに対して、「夏は暑いのが当たり前です」と言い放ち、皆を鼻白ませたエピソードの持ち主です。
 村田蔵六の幕末から時代は下って昭和の半ばあたり、私が子供の時分は、猛暑の中、校庭で運動の練習をしている最中、ちょっとしたインターバルがあり、木陰に少しの涼を求めようものなら、「暑いと思うから暑いんだ!」と先輩からこっぴどく怒鳴られたものでした。そうやって鍛えられたからでしょうか、これまでどんな炎天下にあっても幸い熱中症になったことはありません。
 さて、山に登った時、喉がカラカラになっても、「ここで水を我慢すれば、麓で飲むビールが美味しくなる」と、飲み意地から水分補給をしない人がたまにいます。でも、ビールはスポーツドリンク並みに吸収が良いため、血管ドロドロ血の状態でビールをゴクゴクすれば、アルコール分が一気に血中に浸透し急性アルコール中毒になる恐れがあります。暑くても暑いと思わないか、暑いのが当たり前と思うか、どっちの精神論でいくかはそれぞれ好きにすれば良いでしょうが、こと身体を考えるなら小まめな水分補給は意識して心がける必要があります。特にスポーツの後にビールが待っている時には。

まだ見たことがありません

2019-05-12 19:45:01 | Weblog
 ドナルド・キーンさんは「日本人の質問」(朝日文庫)で、日本人から頻繁に「日本人の女性をどう思いますか」と訊かれるアメリカ人の友人が、「まだ見たことがありません」と答えた例を紹介しています。かつて登山家のマロリーが、「なぜ山に登るのか」の問いに「そこに山があるから」と答えたことは有名です。つまらない質問をする相手を封殺するための返答と見る人もあるようですが、「まだ見たことがありません」も封殺効果がありそうです。でも、外国人なら「見たことがない」で済んでも、日本人なら質問によっては「バカにしているのか」と逆効果を招きかねません。まぁその前に、誰からも相手にされず意見を求められることのない私などは、「まだ聞かれたことがありません」となるのが落ちでしょう。

山へ行く前日の楽しみ

2019-05-10 23:11:35 | Book
 明日は山を登る予定ですが、山へ行く前日は当然ながら天気予報が気になります。週間予報ではずっと晴れマークがなかったものの、前の日になってスキっと晴れの予報に。日ごろの行いの賜物と思いたいところです。さて、天気の心配がなくなって次に気になるのが、電車の中で何を読むかです。電車に乗っている時間が長くなれば、ハズレに当たっては(変な言い方ですが)辛い時間も長くなります。今の通勤本では残りページ数からすると、途中で読み終わってしまう恐れがあります。「さぁ、どうしよう」と昼休みに書店をのぞきました。そこで目に留まったのが、ドナルド・キーンさんの「日本人の質問」(朝日文庫)でした。大まかに言って、日本人からの質問へ回答する形式のパートと、日本文化を扱ったエッセイからなる本のようです。パラパラとページをめくっていると、「どうしても食べられないものがありますか」の質問に対して、「人肉が余り好きではない」とか「ワニの卵が嫌いです」と答えようかと思ったりして、キーンさんはなかなか茶目っ気がある方のようで期待は大。また、エッセイの方も「日本古典文学の特質」、「明治の日記」など、どんな洞察がなされているか興味深々。で、時間を忘れるような読書、流れる汗も心地よい登山、さらには充実した一日へのご褒美の冷たく美味しいビール(一番搾り?)、明日が三拍子揃った休日となることを想像すれば、既に楽しみは始まっていると言えるでしょう。