台風5号は、3番目に長い長寿台風であったそうだ。どちらへ進むのかと随分やきもきさせられたが、当地方へ最接近したのは、月曜日の夜10時ごろだった。風雨共に強くなり、雨音がやかましくて、眠れないとおもっていたが、意外といつも通り眠ってしまった。気が付いたら午前3時、そのころはとても静かになっていた。
それでも、昨年のように稲の被害はないかと、夕方田の方へ散歩に出た。途中いつも通る無花果畑に2台も車が止まっている。すれ違う時に荷台を見ると口が開いた無花果の箱が数個、思わず
「大きな実ですね。家の無花果の2倍はありますよ」
と褒めると、とびきり大きい口の開いた無花果を差し出してくださった。
「下さるのですか。、ワア嬉しい」
というより先に手が出てしまったかもしれない。
「口は開いていても味はかわりないですから」
と云っててわたされた無花果はずっしりとした重みがあり、いかにも完熟の感じがした。
私は無花果には思い出がある。家に直径15センチくらいの無花果の木があり小学生の頃登校前に妹と二人でよくとっていた。朝の空気がひんやりとした感じととり終わった後の篭の重たさをいまでも思い出すことができる。その無花果の色合いと戴いた無花果の色はとてもよく似ているが、時期と大きさには違いがある。
いただいたいちじくを主人が両手で大切に持ち私が急いで車いすを押して、部屋に着いた。その間10分。主人は不自由な手に力を入れ過ぎたのか
「早く無花果から解放してくれ」
と云っていた。夕食のデザートに食べたら甘い無花果本来の味と云うかやさしい味がした。こんな無花果はもう二度と味わう機会はないだろう。(E)
おいしかった無花果
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