MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スウィート17モンスター』

2017-09-28 00:14:22 | goo映画レビュー

原題:『The Edge of Seventeen』
監督:ケリー・フレモン・クレイグ
脚本:ケリー・フレモン・クレイグ
撮影:ダグ・エメット
出演:ヘイリー・スタインフェルド/ブレイク・ジェンナー/ヘイリー・ル・リチャードソン
2016年/アメリカ

 「崖っぷちの17歳」の女の子の物語について

 主人公で高校2年生のネイディーン・フランクリンは優秀でハンサムな兄のダリアンに対する対抗心から人と上手くコミュニケーションがとれなかった。それでも父親のトムが周囲との軋轢を和らげる役割を果たしてくれていたのだが、13歳の時にトムが運転していた車に一緒に乗っていた際にトムが急死してしまってから4年経った17歳になってネイディーンは完全に「こじらせ女子」と化していた(その際にトムが選曲していた曲がビリー・ジョエルの「ガラスのニューヨーク(You May Be Right=あなたは調子がいいようだ)」というところが笑える)。
 例えば、担任教師のブルーナーをネイディーンは独身だと思い込んでいたのだが、ブルーナーには妻と生まれたばかりの赤ん坊がいたし、過激な内容のラインを送ったハンサムなニック・モスマンがネイディーンをデートに誘い、ラインに書いていた通りにただセックスをしようとしたら拒絶されたのだからネイディーンが他人に理解されないのは当然で、ネイディーンは外見でしか人を判断していないのである。
 ダリアンが迎えに来たものの、ブルーナーの家から出てこないネイディーンに怒り心頭に達したダリアンは皮肉を込めて自分は母親のモナとネイディーンを心配するあまり実家から遠く離れた希望の大学を諦めて地元の大学を選んだことなどを告白するのだが、普通に話しても分からないのに皮肉だと理解できるところが面白い。ダリアンは妹に気を使わせないように本当のことは言いたくはなかったと思うけれど。
 ラストでネイディーンはクラスメイトのアーウィン・キムが参加している学生映画祭を訪れ、キムが制作したアニメーションを観る。それは有名になることで自分を振った女の子を見返してその女の子の告白を拒絶する緑のエイリアンが主人公の物語で、ネイディーンはキムの気持ちを察して謝るのだが、映画とは違って優しいキムがネイディーンの気持ちを受け入れることでネイディーンはようやく他人に心を開けるようになる。
 ブラザーコンプレックスを扱った映画は珍しいのではないだろうか。

BILLY JOELさん『YOU MAY BE RIGHT』の歌詞
ユーメイビーライト
words by ビリージョエル
music by ビリージョエル
Performed by ビリージョエル


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