MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『3人の信長』

2019-09-30 00:51:20 | goo映画レビュー

原題:『3人の信長』
監督:渡辺啓
脚本:渡辺啓
撮影:鈴木雅也
出演:TAKAHIRO/市原隼人/岡田義徳/相島一之/前田公輝/奥野瑛太/坂東希/髙嶋政宏
2019年/日本

史実に忠実そうで忠実でない時代劇について

 有名な織田信長の肖像画を利用しながら、信長の影武者を演じている3人ともに月代をしていないということにどうしても違和感が残るのだが、若い観客には月代の方に違和感を感じるのかもしれない。でも常識で考えてしまうのならば明らかに3人とも信長ではない。
 浅井長政を「あざいながまさ」と読ませ、いかにも史実に忠実のように装ってはいるのだが、信長の影武者たちを取り調べている、髙嶋政宏が演じる蒲原氏徳は永禄3年(1560年)の桶狭間の戦いで戦死しており、金ヶ崎の戦いがあった元亀元年(1570年)には存在しておらず、コメディ映画とはいえどこまで史実に忠実なのかよく分からない。
 ストーリー展開はそれなりに面白くはあるが、牢屋に入れられる前にTAKAHIROが演じた「信長・甲」が蒲原氏徳たちに言い放った「歯」や「鉄」や「柱」や「蝋燭」などの「前口上」の意味が最後までよく分からなかった。


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『記憶にございません!』

2019-09-29 00:56:08 | goo映画レビュー

原題:『記憶にございません!』
監督:三谷幸喜
脚本:三谷幸喜
撮影:山本英夫
出演:中井貴一/ディーン・フジオカ/石田ゆり子/小池栄子/吉田羊/木村佳乃/草刈正雄/佐藤浩市
2019年/日本

本編よりも予告編の方が面白い作品について

 とりあえずコメディ映画なのだから、例えば『新聞記者』(藤井道人監督 2019年)のように「反権力」を前面に押し出すようなものは期待はしていなかったが、政治をテーマにしたコメディ映画においてアイロニーという点を鑑みる時、権力におもねってしまっては面白さを失ってしまうのではないだろうか。
 例えば、『独裁者』(チャールズ・チャップリン監督 1940年)の最後の有名な演説は宣伝大臣のガービッチが民主主義の否定と人種差別の奨励を煽り、ヒンケルに対する盲従を求めた後に、独裁者のアデノイド・ヒンケルに似ているという理由で間違えられた二等兵で床屋のチャーリーがヒューマニズムを唱えるからこそアイロニーが生きるわけで、本作のようにそれまで散々悪態をついていた内閣総理大臣の黒田啓介が記憶を失った後、記憶を取り戻したと同時に彼の中に眠っていた「良心」も取り戻し、実は性根は良かったなどと言われると一気に白けてしまうのである。
 三谷は前作『ギャラクシー街道』(2015年)から完全に勢いを失ってしまったようだが、あるいは製作にフジテレビが関わっていることによる「忖度」が働いたのかもしれない。小池栄子と、あまり目立たないが宮澤エマの奮闘がせめてもの救いだろうか。


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『スタートアップ・ガールズ』

2019-09-28 01:47:36 | goo映画レビュー

原題:『スタートアップ・ガールズ』
監督:池田千尋
脚本:髙橋泉
撮影:池内義浩/佐藤康祐
出演:上白石萌音/山崎紘菜/渡辺真起子/宮川一朗太/神保悟志/山本耕史
2019年/日本

旬の女優を無駄遣いする大手芸能事務所について

 本作で監督を務めている池田千尋の『先輩と彼女』(2015年)が素晴らしく、主役を演じていた芳根京子の美しいショットも忘れ難いものだったので、期待を持って観に行ったのだが、本当に同じ監督が撮っているのかと思うくらいに酷いと感じた。
 確かに山崎紘菜が演じる「PEGASUS」という商社に勤める南堀希が佇む白い歩道橋と赤い橋のコントラストなど、見どころが無いわけではなく、山崎は美しく撮られていたようにも思うが、上白石萌音が演じる小松光はエキセントリック過ぎて上白石が無理をしている感じが伝わってきて痛々しいのは、単調なストーリーを盛り上げる役目を強いられたのだと想像してしまう。
 そもそも本作で肝心なことは、幼稚園の保育士の仕事を軽減するための子供たちのデータの収集以上に、そのデータを基に作成されなければならないパソコンのプログラムの方なのだが、そこはスル―されているのである。
 上白石萌音と山崎紘菜という旬の女優を配しながら、こんな詰まらない作品に仕上げてしまえることが逆に凄いとも言いたくなるのだが、彼女たちが所属する東宝芸能がもっと真剣に企画に取り組むべきであろう。


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『台風家族』

2019-09-27 00:44:34 | goo映画レビュー

原題:『台風家族』
監督:市井昌秀
脚本:市井昌秀
撮影:灰原隆裕
出演:草彅剛/新井浩文/MEGUMI/中村倫也/尾野真千子/甲田まひる/若葉竜也/藤竜也
2019年/日本

情にほだされて解決されない肝心の金銭問題について

 鈴木家が久しぶりに集合したのは、父親の一鉄と光子が行方不明になってから10年が経った2018年8月18日である。近所のあけぼの銀行から2000万円強奪して車で逃走後に行方不明になったのである。
 長男の小鉄の娘のユズキはピアノの才能でウィーンの音楽大学に留学を勧められるほどなのだが、費用の問題で諦めざるを得ない。そんな葛藤を抱いたユズキの顔のアップにタイトルが被さり、ラストはユズキの笑顔で終わる本作は、親の遺産を巡る4兄弟の争いが描かれ、さらに末っ子の千尋によってその諍いは動画配信で世界に流れており、それを知った小鉄は視聴者が増えれば収入が増えると教えられ、カメラの前でおどけるのであるが、そのコメントの中に「まっまっ満足」を混ぜているところは面白かった。
 ストーリーは長い間テレビドラマの端役で頑張っていた小鉄に対する両親の想いを確認できて上手く収まりそうだったのだが、結局、両親が銀行から奪った2000万円はあけぼの銀行に返還しなければならず、動画の視聴者は置いてけぼりで、動画の収入がどうなるのかも明らかにされず、実家の売却問題も棚ざらしで肝心のお金に関する伏線が全く回収されていないのはどうしたことなのか?


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『花嫁人形は眠らない』

2019-09-26 00:56:09 | goo映画レビュー

原題:『花嫁人形は眠らない』
監督:久世光彦/澤本均/猪原達三
脚本:金子成人/松原敏春/橋本以蔵
撮影:鈴木秋夫
出演:田中裕子/小泉今日子/池部良/笠智衆/加藤治子/荒井注/柄本明/新井薫子/原知佐子
1986年/日本

無意識を巡る物語について

 10年前に母親を病気で亡くしたために男手だけで育ててくれた父親の公平と、母親が亡くなって以来2日に一度の「寝ぼけ癖」、いわゆる夢遊病を患う妹の今日子を見放すような感じで会社の同僚の小中市太郎との結婚に踏み切れない主人公で27歳の宮本明日子を中心に物語は展開する。1986年のテレビドラマになると1981年の『想い出づくり。』のように、25歳を過ぎた未婚の女性を「クリスマスケーキ」に例えることはなくなっている。
 今日子の「寝ぼけ癖」が治ったことに関して、明日子は「人を愛した」のか「女の子との間で不安定だったことが確かなものになった」のかと推測しているのだが、どう考えても10年前に母親が亡くなる時に、高校生の明日子が病室に入れたにも関わらず、小学生の今日子が入れてもらえなかったことが納得できなかったことが「寝ぼけ癖」の原因であって、それは今日子がまだ小学生だったから死に際の母親の姿を見せたくなかったという明日子の説明を今日子が受け入れたから治ったはずで、意外と自分が意識的にしていることよりも無意識にしていることの方が役立っているということはあるのかもしれない。


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若者の物欲の無さについて

2019-09-25 21:15:14 | Weblog

 遅まきながら『小林信彦 60年代日記』(白夜書房 1985.9.20)を読んで、興味深い文章を見つけたので引用しておきたい。1967年9月1日の日記である。

「夜8時、新宿『ととや』にて、大島渚、虫明亜呂無の両氏と座談会。新しく出る雑誌のためのものだが、『ヒッピー族について』。
 大島渚がもっともくわしく、今の若者は、三十代のわれわれとちがい、物欲がすくなく、一日楽しく暮らせる金があればよいのだ、と語る。フーテンという流行語は知っていたが、〈ドロップアウト〉なる言葉を初めて耳にした。11時、帰宅。」

 もちろん既に亡くなっている大島の発言は昨今の発言ではなく、50年以上前のもので、要するに今に限ったことではなく昔から若者は元々そんなにお金がなくてもそれなりに楽しく暮らしていけるのだが、何故そんな単純なことを忘れがちなのか勘案してみるならば「バブル」という特異な時代を経験してしまい基準がブレてしまったからだと思う。


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グローバル化する英語の問題点

2019-09-24 20:39:27 | Weblog


(2019年9月24日付毎日新聞朝刊)

 小泉進次郎環境相がアメリカのニューヨークの国連本部で開かれた環境関連会合で問題になったスピーチは「In politics there are so many issues, sometimes boring. On tackling such a big-scale issue like climate change, it’s got to be fun, it’s got to be cool. It’s got to be sexy too.(政治においては多くの問題があり、時として退屈になりがちだ。気候変動のようなスケールの大きな争点に取り組むには、楽しく、クールでセクシーでもなければならない。)」とロイターは伝えている。
 この「セクシー(sexy)」という言葉に議論が沸き起こっているのであるが、ここでキーパーソンとなるのが小泉の隣に座っている、アジアにおけるクリーンエネルギーの投資先を探すために様々な会社や銀行の役員と小泉との仲介役をしていたUNFCCC(国際連合枠組条約)の事務局長のクリスティアナ・フィゲレス(Christiana Figueres)で、そもそも彼女が2012年6月21日の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において「Please help us to make green sexy. Well that is exactly what we need to do. We need to make it so sexy that it becomes the norm. I thank you all for contributing to making green sexy. But I challenge you. We have to do it not tomorrow, not the day after, we have to do it now.(どうかグリーン=環境問題がセクシーになるように私たちを助けてください。まさにそれが私たちがする必要があることなのです。私たちはグリーンをよりセクシーにする必要があり、それでようやく標準になるのです。グリーンをセクシーにすることに貢献してくれる全ての人に感謝します。でも私は敢えてみなさんに要求します。私たちは明日ではなく明後日でもなく今そうしなければならないのです。)」という発言が議論の元になっている。
 この問題の源はフィゲレス自身がコスタリカ出身で母語はスペイン語で、もちろん外交官だから英語は流暢に話せるとしても微妙なニュアンスまで理解していたのかどうか(あるいは確信犯として)扇動的な言葉遣いのために、専門家はともかくとして英語を母国語とする人たちも含めて誤解が生じているように思う。


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「全く」を連呼する「神」について

2019-09-23 00:36:59 | Weblog

 2019年9月22日付毎日新聞の「松尾貴史のちょっと違和感」では「台風15号が千葉県直撃 組閣を優先した『棄民』政権」というタイトルで以下のようなことが書かれている。

 記者会見で「昨年の台風21号では即日非常災害対策本部を立ち上げたが、今回は今も作られていない。専門家は、組閣が優先され、被害の見積もりが甘かったと指摘している」と質問された菅義偉官房長官は、例のごとく「全く違う。今回の台風は史上最大瞬間風速57メートルという風の被害」と返答(にはなっていないが)をしていた。

 この質問をしたのは東京新聞の望月衣塑子記者で精確な答えは「全く違います。先の台風と今回の台風は質が違います。今回は、まぁ、史上最大と言われる瞬間風速57メートルということに象徴されるように風によっての被害が発生しております。」である。この返答の意味を無理して汲み取るならば「先の台風は『雨台風』で今回の台風は『風台風』だから台風らしい『雨台風』に対しては機敏に対応するが、『風台風』に関しては政府はそれほど力を入れない」と解釈するしかない。
 しかし個人的には菅官房長官の「全く」という言葉が気になってしまう。例えば、被害の見積もりの甘さを指摘された菅官房長官は「全く違う」と言うのだが、先であろうと今回であろうと台風であることに変わりはないのだから、「全く違う」わけではないのである。
 あるいは8月25日の記者会見において韓国政府が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことに関して、「わが国による情報収集や米国との情報協力で万全の体制をとっており、同協定が終了することでわが国の防衛に支障を来すことは全くない」と言うのだが、それならば何故そもそも「全く」何の効力も生じない協定を韓国と結んだのか意味が分からないのである。
 まるで神の視点から完全否定できる菅官房長官の自信満々の根拠がどこから来るのか興味深いのであるが、もしもヨーダが神というのであるならば納得しないでもない。

菅官房長官 定例会見 【2019年9月17日午前】


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「The Way You Look Tonight」 Ric Ocasek 和訳

2019-09-22 12:36:42 | 洋楽歌詞和訳

Ric Ocasek - The Way You Look Tonight (Video)

 リック・オケイセックのソロワークは決して悪いものではなかったが、カーズの作品を

越えるものはなかったと思う。「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト」を和訳しておく。

「The Way You Look Tonight」 Ric Ocasek 日本語訳

もしも僕が他の場所にいて
仲間のいないところで時間を無駄に費やすならば
君が僕を言い負かす喋り方でさえ僕は恋しく思うかもしれない
もしも僕が違う道を選ぶか
誰もいない時に引き返したならば
僕は違う夢を見られたかもしれないし
今夜の君のいで立ちを恋しく思うかもしれない

今夜の君のいで立ちを
今夜の君のいで立ちを

もしもまるで僕がいつものように君に会いながら
僕が違う世界にいるならば
君が与えようとする全てのやり方を僕は恋しく思うかもしれない
もしも君が僕に対してすることさえ君には織り込み済みで
時々僕が永遠について考えるならば
僕は違う夢を見られたかもしれないし
今夜の君のいで立ちを恋しく思うかもしれない

今夜の君のいで立ちを
今夜の君のいで立ちを

今夜の君のいで立ちを
今夜の君のいで立ちを

もしも時間が別にあって
君が何を想うのだろうかと僕が思案するならば
僕は違う夢を見られたかもしれないし
今夜の君のいで立ちを恋しく思うかもしれない

今夜の君のいで立ちを
今夜の君のいで立ちを

今夜の君のいで立ちを
今夜の君のいで立ちを

今夜の君のいで立ちを僕は愛しているし
今夜の君のいで立ちが僕は好きなんだ


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「The Next Right Moment」 Ric Ocasek 和訳

2019-09-22 00:30:08 | 洋楽歌詞和訳

Ric Ocasek - The Next Right Moment

 リック・オケイセックのソロとして後期の佳曲として「ザ・ネクスト・ライト・モメント」を

和訳しておきたい。

「The Next Right Moment」 Ric Ocasek 日本語訳

僕は今本当に飽き飽きしていて
それが僕をイライラさせるから
どうにかして僕はそれを遅らせなければならない
だって僕は今正道を踏み外し始めているから
両脇や上下を見定めながら
しっかりした地面の上で自分自身を整えるんだ

僕は次に来る瞬間を待ちきれない
僕は真夜中の太陽の快感を待ちきれない
未来がまさに始まると言われているから待ちきれない
僕は次に来る瞬間を待ちきれないんだ

君は僕のことを本物の人間のクズだと断言した
君は僕にゲイのようなイメージをつけた
君は僕を何度もまばたきしながら見ている
僕はついに君の暗殺予定者のリストに載せられる
行きつ戻りつ大混乱の最中
僕は戦場へ連れていかれる

僕は次に来る瞬間を待ちきれない
僕は真夜中の太陽の快感を待ちきれない
未来がまさに始まると言われているから待ちきれない
僕は次に来る瞬間を待ちきれないんだ

僕は次に来る瞬間を待ちきれない
僕は真夜中の太陽の快感を待ちきれない
未来がまさに始まると言われているから待ちきれない
僕は次に来る瞬間を待ちきれないんだ

君は僕のことを本物の人間のクズだと断言した


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