MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アムステルダム』

2022-10-31 00:56:33 | goo映画レビュー

原題:『Amsterdam』
監督:デヴィッド・O・ラッセル
脚本:デヴィッド・O・ラッセル
撮影:エマニュエル・ルベツキ
出演:クリスチャン・ベール/マーゴット・ロビー/ジョン・デヴィッド・ワシントン/ラミ・マレック/マイク・マイヤーズ/ロバート・デ・ニーロ
2022年/アメリカ

ベテラン映画監督の「衰え」について

 予告編を観た限りではとても面白そうな作品だと思ってかなり期待して観に行ったのだが、これほど期待外れの作品に出合うのも久しぶりではなかっただろうか?
 冒頭の出だしは悪くはなくリズ・ミーキンスを演じたテイラー・スウィフトの唐突な「退場」までは存分に楽しめたのだが、例えば、主人公のバート・ベレンセンとハロルド・ウッズマンがヴォーズ家を訪れ、トムとリビーの夫妻と対面での対話のシーンを思い浮かべてみる。当然話す方が画面に映り、そのたびにカメラが切り替わるのであるが、切り替わるたびにトムの背後にいるリビーのポジションが微妙にズレており前の画面と合っておらず、演出のユルさが気になってしまう。
 あるいはクライマックスにおいてもタリーム・ミルファックスが使用した拳銃の質感に重みがなく、撃たれたバートもなかなか倒れなかったので、おもちゃの銃によるハッタリだったのかと思ったのだが、バートはたまたま体に巻いていたコルセットで助かっただけで、とにかく画面に緊張感が全く感じられないのである。
 エンドロールで流れるギヴィオンの「タイム」を和訳しておきたい。タイトルのせいもあってピンク・フロイドのようなサウンドを醸し出している。

「Time」 Giveon 日本語訳

僕たちが分かち合った時間
全てがより良くなっていた
どの瞬間でさえあっという間に過ぎて行く
だからこそ貴重だった
その時には僕は全く気が付かなかった

今こそ
本当に僕に理解できるだろうか?
どれくらい君と一緒にいられるか
僕を形成したその時間
だから例え僕が気付かなかったとしても
僕と時間を共有してくれた君に感謝したいんだ

全てがより良くなっていた時間は
僕が思い出せるだけ長く
僕と一緒にいてくれないのか?
僕が費やした多くの時間は
薄れていってしまうけれど
これらの想い出だけは薄れさせない
今日も僕は大切に持ち続ける

想い出がどれほど強いものか
僕がどのようにして知り得るだろうか?
想い出は僕が信じられない方法で
僕の人生を変えた
このような想い出の中で
僕たちは永遠に留まるんだ
だから僕たちが一緒に過ごした時間に関して
僕は君に感謝するんだ

Giveon - Time (From the Motion Picture "Amsterdam" - Official Audio)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1106068


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『とんび』

2022-10-30 00:56:37 | goo映画レビュー

原題:『とんび』
監督:瀬々敬久
脚本:港岳彦
撮影:斉藤幸一
出演:阿部寛/北村匠海/杏/安田 顕/大島優子/濱田岳/宇梶剛士/麿赤兒/麻生久美子/薬師丸ひろ子
2022年/日本

絶滅危惧種としての「昭和の男」について

 当初は主人公の市川安男の広島弁炸裂の破天荒キャラクターに馴染めなかったが、いわゆる「昭和の男」としてだんだんと見慣れてくると、個人的には未見だがそもそも2度もテレビドラマ化されただけあるストーリーの巧みさと、更には何故か予算の大きな作品にはなかなか本領を発揮できないでいる瀬々敬久監督の悪い癖が出ることもなく、最後まで丁寧な作りの良作になっていると思う。登場人物が口の中のものを吹き出すシーンに切れがあって笑いを誘うのだが、誉め言葉になっているだろうか?


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-132982


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『この子は邪悪』

2022-10-29 00:58:25 | goo映画レビュー

原題:『この子は邪悪』
監督:片岡翔
脚本:片岡翔
撮影:花村也寸志
出演:南沙良/大西流星/桜井ユキ/渡辺さくら/桜木梨奈/稲川実代子/二ノ宮隆太郎/玉木宏
2022年/日本

無謀な設定を納得させる熱演について

 2021年の4月。舞台は山梨県甲府市。主人公の窪花の父親はそこで「くぼ心理療法室」という病院の医師である司朗で、その家族が5年前に遭遇した交通事故と、その後の司朗の対応に疑問を持った窪花の同級生の純と、やがて自身も父親を疑いだす窪花と司朗との駆け引きが描かれることになる。
 司朗が精神科医として用いる「退行催眠」まではリアリティがあったのだが、人間の魂とウサギの魂を入れ替えるという設定は無茶だと思った。だから本作はオリジナル作品の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2017」というオリジナル作品の企画コンテストでグランプリではなく準グランプリだったのだと思うのだが、司朗を演じた玉木宏の熱演で破顔せずに辛うじて観賞に耐えられるものに仕上がっていると個人的には思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2247876


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『さがす』

2022-10-28 00:51:48 | goo映画レビュー

原題:『さがす』
監督:片山慎三
脚本:片山慎三
撮影:池田直矢
出演:佐藤二朗/伊東蒼/清水尋也/森田望智/石井正太朗/松岡依都美/成嶋瞳子/品川徹
2021年/日本

球の無い卓球のラリーについて

 主人公の原田智は卓球教室を経営していたのだが、一年前に妻の公子を難病で亡くしてから日雇いのアルバイトで生計を立てている。智には楓という中学三年生の一人娘がおり、仲は悪くないようだが、楓は反抗期といったところだろうか。
 実は公子は筋萎縮性側索硬化症という難病を患っていたのだが、楽になりたいという理由から公子は安楽死を望むようになり、たまたま介護施設で出会った山内照巳という介護士が公子の安楽死を20万円で引き受けたのである。しかしこの時に経験で智は自殺ほう助に対して歪んだ考え方を抱くようになり、山内が手を下す自殺ほう助の手伝いをするようになる。
 その後のストーリー展開は観て確かめて欲しいと思うのだが、ここではラストの智と楓の、自宅の卓球場での長回しの卓球のラリーに関して指摘しておきたい。確認しておきたいのは最初は二人はピンポン球を打っているのだが、途中からピンポン球が無いまま音だけは鳴ったままラリーが続くのである。これは『欲望(Blowup)』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督 1967年)のラストシーンにおけるテニスボールの無いテニスのラリーを想起させる。つまり智と楓の関係が見た目は親子のままでも空虚な関係になってしまているという暗示なのである。SNS上のレビューで意外とピンポン球が無いままラリーしていることに気が付いていない人が多いことに驚かされる。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-121505


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『アキラとあきら』

2022-10-27 00:59:02 | goo映画レビュー

原題:『アキラとあきら』
監督:三木孝浩
脚本:池田奈津子
撮影:柳田裕男
出演:竹内涼真/横浜流星/髙橋海人/上白石萌歌/児嶋一哉/満島真之介/奥田瑛二/石丸幹二/ユースケ・サンタマリア/江口洋介
2022年/日本

久しぶりの再会の演出について

 池井戸潤が原作の本作はストーリーに関しては文句がない出来栄えで何も言うことはないのだが、演出に関して気になったことを書いておきたい。
 父親が町工場の「山崎プレス工場」を経営している山崎瑛と大企業「東海郵船」の御曹司である階堂彬は同い年で同じ産業中央銀行に就職するライバルとなるのであるが、彼らが初めて出会うのはその12年前のことで、父親の工場が倒産して機材を運んで行くトラックを追いかけて道路に飛び出した瑛を轢きかけた高級車の後部座席に座っていたのは彬で、車から降りてきた彬は瑛は落とした父親が開発した部品を拾って瑛に手渡したのが最初なのである。
 それに二人が気がついたのはどうもラストで2人が瑛の故郷を訪れた際に、ずっとお守りとして持っていたその部品を瑛が落とし、それを彬が拾った時だったようなのだが、その感動的な場面が上手く描かれていないような気がする。
 因みにこれは本作に関係があるようで無いような話なのだが、本作に出演しているお笑い芸人のアキラ100%はお笑いよりも俳優の方が相応しいような気がする。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/news1242/trend/news1242-382545


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『沈黙のパレード』

2022-10-26 00:59:14 | goo映画レビュー

原題:『沈黙のパレード』
監督:西谷弘
脚本:福田靖
撮影:山本英夫
出演:福山雅治/柴咲コウ/北村一輝/飯尾和樹/戸田菜穂/田口浩正/岡山天音/村上 淳/吉田羊/檀れい/椎名桔平
2022年/日本

蝶のカチューシャについて

 『ガリレオ』の劇場版のシリーズも西谷弘監督作品もそれほど高く評価はしておらず、それならば何故観に行ったのかと訊かれたならば、たまたま時間が合ったとしか言いようがないのだが、本作はなかなか良く出来た作品ではないかと思った。
 作品の性格上ストーリーの詳細は避けるが、並木佐織がしていたカチューシャは金色の蝶の形をしているのだが、本作において黄色の蝶が登場するシーンが二か所ある。一つ目はラストシーンにおいて恋人の高垣智也の背中に舞ってくるところと、もう一つは新倉留美が自分に家の庭の手入れをしているところに登場するのであるが、蝶を見た留美は何故かその蝶を追い払うような仕草をするのである。ここに佐織に対する二人の想いが暗示されており、洒落た演出のように思うのである。



gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-147560


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『ぜんぶ、ボクのせい』

2022-10-25 00:45:51 | goo映画レビュー

原題:『ぜんぶ、ボクのせい』
監督:松本優作
脚本:松本優作
撮影:今井孝博
出演:白鳥晴都/川島鈴遥/松本まりか/若葉竜也/仲野大賀/片岡礼子/木竜麻生/駿河太郎/オダギリジョー
2022年/日本

子供たちに対して関心が無さすぎる保護者について

 違和感の残る作品だった。主人公の松下優太は児童養護施設で暮らす13歳の中学生で、なかなか自分を引き取りに来ない母親の梨花に会いに、施設で盗んだお金で母親に会いに行くものの、母親は別の男と同居しており自分の居場所はなく、やがて母親が連絡して施設の職員である宮本由美香が迎えに来るのであるが、優太は逃走して軽トラで暮らしている坂本健二と一緒に生活することになる。しかし宮本は失踪届を警察に出さなければならないはずで、優太がいつまでも坂本と暮している状況は現実には無理があるのである。
 あるいは失態を犯した児童養護施設が優太の失踪を隠した可能性もあるのだが、それならば優太と親しくなった高校生の杉村詩織の場合はどうだろうか? 詩織には母親がいないのだが、父親に育てられ姉は大学の医学部に通っており、父親は詩織にもかなり期待している。だから軽トラが放火されて坂本が焼死した後に、川辺で優太と一晩過ごした詩織に対して父親は酷く心配しているはずなのだが、捜索された様子もなく、さらに優太と共に川崎に向かうために列車に乗るために一旦家に帰って身支度をして荷物をまとめて父親に黙って駅に行けるはずもないのである。
 このように本作は子供たちに対して関心が無さすぎると思うのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/yorozoonews/entertainment/yorozoonews-14692911


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『RRR』

2022-10-24 00:58:29 | goo映画レビュー

原題:『RRR』
監督:S.S.ラージャマウリ
脚本:S.S.ラージャマウリ
撮影:M.M.キーラヴァニ
出演:S.S.ラージャマウリ/N・T・ラマ・ラオ  Jr./ラーム・チャラン/アーリアー・バット/アジャイ・デーヴガン/オリビア・モリス
2021年/インド

インド版のアヴェンジャーズについて

 前半辺りまではインド映画らしいミュージカルなメロドラマとして楽しめるものの、詳細は避けるが縄で縛られているビームの叔父が捕らえた毒蛇をマーラに上手く嚙みつかせたり、移動車の外から仲間が差し入れた剃刀を車内にいて後ろ手に縄で縛られていたビームが上手く受け取って縄を切ったりと、様子がおかしくなってきたと思った矢先に、ついに3時間の最後の30分ほどで2人はアベンジャーズばりに変身してスコット・バクストン・英国領インド総督を射殺すのである。
 つまり実在する人物であるインドの革命家のアッルーリ・シータラーム・ラージュ(Alluri Sitarama Raju)やコマラム・ビーム(Komaram Bheem)や作家で政治家のラーラー・ラージパト・ライ(Lala Lajpat Rai)の物語が史実を基に再現されているわけではないので、歴史物語を期待して観に行くと酷い目に遭うと思うが、例えば『300 〈スリーハンドレッド〉』(2006年)などを撮っているザック・スナイダー監督作品のようなものとして観るならば大いに楽しめるものになっていると思う。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/anannews/trend/anannews-441989


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『スペンサー ダイアナの決意』

2022-10-23 00:58:00 | goo映画レビュー

原題:『Spencer』
監督:パブロ・ラライン
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:クレール・マトン
出演:クリステン・スチュワート/ジャック・ファーシング/ティモシー・スポール/ショーン・ハリス/サリー・ホーキンス
2021年/イギリス・アメリカ・ドイツ・チリ

「寓話」の描き方について

 冒頭で「実際の悲劇を基にした寓話(A fable from a true tragedy)」とあるように本作は史実を追って描かれているわけではなく、主人公のダイアナ妃の王室のおける苦しい立場が抽象的に描写されている。それは冒頭から車を運転しているダイアナ妃が自分がどこにいるのか分からないところから既に暗示が始まっている。
 さらにダイアナ妃を苦しめるのが部屋の置かれていた、彼女の祖先であるアン・ブーリン(Anne Boleyn)に関する本である。ヘンリー8世と正妻のキャサリン・オブ・アラゴンとブーリンの関係が、チャールズ皇太子とカミラ・シャンドと自分の関係に似ており、ブーリンは姦通で処刑されているのである。
 ところがいくらダイアナ妃がルールを無視した行動を起こし、あちらこちらへ走り回っても王室のルールはびくともせず、クリスマスを挟む3日間は時間通りに料理が運ばれ、時間通りに教会に赴き、長男のウィリアムには狩猟を学ばせ、ダイアナ妃の思いが考慮されることは全くもってない。
 ダイアナ妃の最後の頼みの綱は二人の息子で、狩猟を妨害し2人を連れ出すことでようやくダイアナ妃は自由を手に入れる。冒頭で料理の具材を積んだ何台ものトラックが城に向かう光景とは正反対に、最後は2人の息子を乗せてダイアナ妃が運転する一台の車が城を後にして、3人はケンタッキーフライドチキンを川沿いにある長椅子で座って食べるのである。
 3人が歌っていたマイク・アンド・ザ・メカニックスの「オール・アイ・ニード・イズ・ア・ミラクル」は本作を観ながら聴くとチャールズ3世の懺悔の歌のように聞こえる。以下、和訳。

「All I Need Is A Miracle」 Mike + The Mechanics 日本語訳

行きたければ行けばいいし
いたければいてもいいと僕は君に言った
君が僕にまとわりつこうがどうしようが僕は気にならなかったし
君が去ろうがどうしようが僕は気にならなかった

君が正しかったことなど一度もなかったことは分かっているから
いつでも僕が正しかったことを僕は真実だと認めるつもり
僕は一度も決心できなかったから
僕は行き当たりばったりでやってきた
僕はあなたを子供扱いしたけれど
残りの人生で君がいないとなると寂しくなると思う

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

僕には時間の余裕がなかったから
一度も電話はしなかったけれど
ただ君を傷つけるために
僕はいつもの僕とは違うことをしてしまった
絶対に傷つけるべきではなかった人に

僕は自分は冷静でいたつもりだった
自分は強い人間だと思っていたけれど
いつもの古びたお馴染みの言い訳だ
失うまで自分が何を手に入れていたのか君には絶対に分からない
もしも僕が君に追いつくならば
君の残りの人生で僕は君を愛するんだ

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

もしも僕が君に追いつくならば
君の残りの人生で僕は君を愛するつもりだ

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

Mike + The Mechanics - All I Need Is A Miracle (Official Video) 

Mike + The Mechanics - All I Need Is A Miracle '96 (Official Video) 

Mike + The Mechanics - All I Need Is a Miracle (2019 Version)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/postseven/entertainment/postseven-1801372


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『カラダ探し』

2022-10-22 22:47:55 | goo映画レビュー

原題:『カラダ探し』
監督:羽住英一郎
脚本:土城温美
撮影:一坪悠介
出演:橋本環奈/眞栄田郷敦/山本舞香/神尾楓珠/醍醐虎汰朗/横田真悠/柳俊太郎/西田尚美/柄本佑
2022年/日本

心を開かせる「ショック療法」について

 主人公で高校生の森崎明日香は友達もおらず、毎日の昼食も外で一人で食べていたのだが、2022年7月5日を境に環境が一変してしまう。夜中になってLINEのメッセージをきっかけに明日香が訪れた礼拝堂には伊勢高広、浦西翔太、鳴戸理恵、柊留美子、清宮篤史も集められていたものの、同じクラスメイトであるにも関わらずお互いのことを良く知らずに「赤い人」に次々と殺されていくのだが、翌朝になると何事もなかったかのようにリセットされていて、不登校の清宮以外は普通に高校に来る。
 どうやら「カラダ探し」で全パーツを集めない限り、ループが終わらないことが分かり、全員で協力して体を探すことになる。つまり本作は心を閉ざしている若者たちが同じ目的を持って力を合わせることで心を開くことができるのであり、それは「カラダ探し」でなくても、例えば文化祭のお化け屋敷の運営でもいいのではあるが、強制されなければなかなか心は開けないという事実はあると思う。しかしルールとして「カラダ探し」をコンプリートした翌日は7月6日になっており6人はそれまでのことを忘れてしまうのである。そこで明日香の記憶を呼び起こすものがあるのだが、それは言わずもがなであろう。
 本作に登場する“それ”が同時期に公開されている『“それ”がいる森』(中田秀夫監督 2022年)の“それ”とそっくりなのが興味深いのだが、『“それ”がいる森』が中途半端なホラー映画でしかなかったのに対して、本作は高校生たちが自分たちの「実存」を賭けただけ見応えはあると思うが、“それ”との戦いがどうももたもたしていて、例えばもう少しチェーンソーを上手く使えばもっと早く戦いは終わった感じがする。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_80939


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