原題:『変身』
監督:佐野智樹
脚本:よしだあつこ
撮影:浜田毅
出演:玉木宏/蒼井優/北村和夫/山下徹大/松田悟志/佐田真由美/釈由美子
2005年/日本
長尺の「ウルトラQ」について
これほど見どころが無い作品も珍しいのではないだろうか。世界初の脳移植という大規模なプロジェクトがわずか3人の人物によってなされているという設定に無理があると思うが、演出にも無理があって、例えば、主人公の成瀬純一に信頼されて託された日記の内容をわざわざ成瀬の部屋で担当医師の堂元英隆に知らせている橘直子が成瀬に見つかって殺されてしまったり、成瀬の逃亡先を堂元の助手である若生健一が、葉村恵に教えられてやって来たと言うのであるが、その後恵が成瀬を裏切ったというような話にはなっていないので、若生がどのようにして成瀬の逃亡先を知ったのか謎のままである。更には自分の目の前で頭部を拳銃で撃って自殺した成瀬を見たはずのある恵がラストで、成瀬が描いた自分の肖像画を前に微笑んでいられるはずもなく、気が狂ったようにしか見えないのであるが、正気を失ったということなのだろうか。
画家としての成瀬純一とピアニストとしての京極瞬介のキャラクターを演じ分けることは至難の業だと同情はするが、玉木宏の演技も上手くいっていないと思う。しかしそもそも脚本が悪いのだから仕方がない。
だから東野圭吾原作の映画化ではなくて、「ウルトラQ」的なテレビドラマ作品として観ればいいのかもしれないが、それならば108分という上映時間は長すぎる。