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「迷子の自由」星野博美

2014年12月28日 21時10分17秒 | 読書(写真エッセイ)

迷子の自由 
「迷子の自由」星野博美

星野博美さんの写真エッセイ。
写真家だからなのか、一瞬の風景を切り取るのが巧みである。
その現在の風景から、過去や未来も想起させる文章。
ホント、見事である。

P47
なぜ香港にこれほどインド系の人々が多いかというと、一言でいえば阿片戦争が原因だ。インドの植民地化に成功した英国は、次に中国を狙って阿片戦争をしかけた。そしてその際植民地として得た香港には、警察や軍隊要員としてインド人を大量に送り込んだ。その末裔たちが、いまでも香港には多く暮らしているのである。

P150-151
反日感情について書かれている
1937年の盧溝橋事件の後、蒋介石は重慶に臨時政府をおいた。
そのため、1939-41年まで、日本軍の空爆にさらされた。
あちこちに防空壕が残されている。
著者は、そんな重慶に反日運動が高まっている時に訪問している。
ところが、住民の方に親切にされている。
これはどうしたことだろう?

この反日気運は、旧来の単純なナショナリズムだけでは説明しきれない、何か別の不満感情が複雑にからみあって生まれたものではないだろうか。重慶にいたからこそ、私はそう感じた。


[目次]
東京(引っ越しの朝
ブロッコリー ほか)
インド(インドへの道
夢 ほか)
東京(そっぽのアンテナ
サクラチル ほか)
重慶(チュンキン
ルーシーの夢 ほか)
東京(記憶喪失の予定
私は機械になりたい ほか)
[出版社商品紹介]
今日は迷おう。知らない道を歩いてみよう。迷子になることで何が見えてくるのだろう。著者の写真×エッセイ集。

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