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「神さまたちの遊ぶ庭」宮下奈都

2015年03月14日 11時12分07秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「神さまたちの遊ぶ庭」宮下奈都

宮下奈都さんのエッセイ。
表紙の絵がいい感じ。思わず手に取りたくなる作品だ。
夫婦と子ども3人、一家5人で北海道に移り住んでの記録。
それも、僻地も僻地、トムラウシの麓。
トムラウシと言えば、日本100名山で唯一カタカナ表記の山。
しかも、大量遭難者が出たいわく付きの山。
いったいどうなるか?
 
P7
カムイミンタラというのは、アイヌの言葉で「神々の遊ぶ庭」。そう呼ばれるくらい、素晴らしい景色に恵まれた土地なのだそうだ。検索して出てきた画像は、たしかに美しかった。素晴らしい景観だということはよくわかった。この山の麓から350メートルほどのところに、小さな集落があるらしい。そこには牧場があり、小中学校がある。そこに行こう、と夫は言っているのだ。

グリーンクラブという少年団の活動に、山に登る恒例行事がある。
大人も希望者は一緒に行ける。
トムラウシ山からは絶景が見られる。、
著者は行ってみたい気持ちと不安とで揺れ動く。
だが、不整脈が原因で断念する。
2軒隣の由美さんとの会話。
P90
「登山、行けなくなっちゃいました」
私が報告すると、
「それがいいと思っていたよ」
あっさり言われる。 
「自分ひとりがやっとくらいの体力だったら、何のために登るのかわからないでしょう。あくまでも子供たちのサポートのために付き添うんだから、たとえば子供たちに何かあったときに、背負えたり、せめて荷物を持って登れるくらいじゃないと」
(たしかに正論だけど、気持ちとしては納得できない。著者には登って欲しかった。本来、地域の活動として山村留学を企画して受け入れ、登山を行うというのは、自然にふれて、地域の魅力を知ってもらう、って趣旨があるはず。この由美さんの言動には3種類の解釈が可能・・・①彼女の方こそ『自分ひとりがやっとくらいの体力』。だからこそ、余計なリスクを負いたくなかった。②自分では体力自慢だから、そうじゃない方を弾いた。体力マニア、筋力マニアの方には、往々にしてその傾向がある。③客観的な判断と好意からのアドバイス)

P158
木というのは、葉を落として雪に備えるもので、落葉する前の木の枝に大雪が積もってしまえば、重みに耐えられない。それで大量の倒木になったらしい。

読んでいて、うらやましくなった。
私も行って経験してみたい。
でも、山村留学は、小さな子供がいないとダメだけど。
少なくとも、トムラウシ山には、いつか行ってみたい。
山頂からの眺めは、日本百名山屈指、と言われている。

「鳥瞰図で楽しむ日本百名山」成美堂出版より

【参考リンク】
新得町立富村牛小中学校ホームページ

新得町立富村牛小中学校山村留学 0000:メインページ

【他の宮下奈都作品】
「ふたつのしるし」宮下奈都
「スコーレNo.4」宮下奈都
「よろこびの歌」宮下奈都
「終わらない歌」宮下奈都



【ネット上の紹介】
北海道を愛する夫の希望で、福井からトムラウシに移り住んだ宮下家五人。TSUTAYAまで60キロ、最寄りのスーパーまで37キロ。「誰が晩のおかずの買い物をするのかしら」。小中学生あわせて15名の学校には、元気満々曲者ぞろいの先生たち。ジャージで通学、テストも宿題もないけれど、毎日が冒険、行事は盛り沢山。大人も子供も本気の本気、思いきり楽しむ山での暮らし。大自然に抱かれた宮下家一年間の記録。 

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