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「マリー・アントワネット運命の24時間」中野京子

2012年05月16日 22時33分34秒 | 読書(ノンフィクション)

「マリー・アントワネット運命の24時間~知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡」中野京子

いわゆるヴァレンヌ逃亡事件をリアルに再現している。
しかも、分かりやすく迫真の描写で。

ヴェルサイユからチュイルリーへの移送を次のように説明している。

P9
喩えるなら、霞ヶ関という職場があるのに、首都から遠いディズニーランドに常駐して長年遊び呆けていたエリート官僚たちを、都民が力ずくで霞が関へ連れもどして仕事をさせたようなもの。

ヴァレンヌ逃亡の手筈を整えたのはフェルゼン。
次のように説明されている。
P42
このようにフェルゼンは、総勢七人の王族をパリから脱出させる手筈を――まさに八面六臂の活躍で――整えたのだ。(中略)総額は、現代に換算して120億円とも言われる。

P165
当時のフランス人口は2600万人、そのうち600万人がフランス語を全く話せず、されに600万人が片言しか話せなかったとの統計がある。想像以上の多人種多言語国家だった。

P182に、ルイ・シャルルに残された短い人生が描写されている。
どのような最後をむかえたのか・・・読んでみて。

ルイ16世のアントワネットへの思いはどうだったのだろう?
P229
この1年後、処刑を前にして記した遺書には、こんな文面がある、「我が妻には、わたしのせいで彼女の身にふりかかってしまった不幸、そしてともに過ごした期間にわたしが彼女に与えたであろう悲しみについて赦しを乞います」。

それにしても、不幸な出来事である。
ルイ16世の趣味は、錠前作り・・・なんというか、マニアックというか。
絶対君主なのに、もっと他にやること、やれることがあるでしょうに。
ルイとアントワネットの結婚は、オシャレなネエちゃんとオタクのカップル。(ブルボン&ハプスブルク、超セレブ政略婚)
それでも、お互いを気遣い合っていたのが分かってよかった。

PS
よくこれだけ調べたものだ。
相当な資料を駆使して24時間を描写し、再現してある。
手に汗握るとは、このことか。

【ネット上の紹介】
亡命失敗、フランスに王がいなくなる日。刻々と迫る断頭台への道程。革命に翻弄された王妃の真実とは?―。マリー・アントワネットの立場から見るフランス革命。運命を狂わせたヴァレンヌ逃亡事件物語と絵でひもとく。
【目次】
1章 運命の六月二十日;2章 緻密に、大胆に;3章 脱出の夜;4章 フェルゼンを欠く;5章 「王が拉致された!」;6章 急がぬ旅;7章 踏みつけられた者の怒り;8章 追いつめられてゆく;9章 真夜中のヴァレンヌ;10章 運命の回転;11章 王は不動;12章 ヴァレンヌの朝
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