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「裁判の非情と人情」原田國男

2017年08月23日 18時58分37秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「裁判の非情と人情」原田國男

元裁判官・原田國男さんのエッセイ。
2017年 第65回 日本エッセイスト・クラブ賞受賞作品。

P46
さて、刑事裁判官と民事裁判官は、お互いをどうみているか。おそらく、刑事裁判官は、刑事事件は事実認定が命であり、それに比べ、民事事件の事実認定はラフすぎるというであろう。これに対して、民事裁判官は、事実認定が大事だといっていても、結局、刑事裁判官は検察官の主張に乗って有罪にしているだけではないか、と厳しい見方をするであろう。

P68
死刑の場合、主文の朗読を最後にまわすのが一種の慣行である。これは、最初にして、たとえば被告人が失神などしてしまうと言渡し手続きが未完となるからだ。

裁判官が書いた本を三冊挙げられている
P135
出版順に挙げると、鬼塚賢太郎『偽囚記』、岡村治信『青春の柩 生と死の航跡』、ゆたかはじめ『汽車ポッポ判事の鉄道と戦争』である。

【ネット上の紹介】
裁かれるのも「人」なら、裁くのも「人」のはず。しかし、私たちにとって裁判と裁判官は、いまだ遠い存在だ。有罪率99%といわれる日本の刑事裁判で、二〇件以上の無罪判決を言い渡した元東京高裁判事が、思わず笑いを誘う法廷での一コマから、裁判員制度、冤罪、死刑にいたるまで、その知られざる仕事と胸のうちを綴る。
第1章 裁判は小説よりも奇なり―忘れがたい法廷での出会い(「法廷闘争時代」の幕開けに
右手を挙げて宣誓? ほか)
第2章 判事の仕事―その常識・非常識(紅茶を出されたら…
刑事裁判官vs.民事裁判官 ほか)
第3章 無罪判決雑感(「合理的な疑い」とは何か?
裁判官vs.新聞記者 ほか)
第4章 法廷から離れて―裁判所の舞台裏(最高裁調査官の「魔術」と「錬金術」
人生の達人 ほか)
第5章 裁判員と裁判官―公平な判断のために求められるもの(国民の目線と少年事件
裁判官vs.弁護士 ほか)