「あきない世傳金と銀」(4)高田郁
シリーズ4作目、貫流篇。
今回も楽しめた。
前回もそうだったが、今回も乱高下が激しい。
目まいのするような展開である。
1作目から、こうなったらいいな、とは思っていたが、4作目にして、こうなるとは、驚いた。
これで、幸は思いどおりに辣腕を振るうことが出来る。
一作目から、このペアになっていたら、これほどの波瀾万丈にならなかったでしょうね。
未読の方は、ここから読まないように。
ストーリー展開が読めないようなセリフを選んでいるが、それでも勘の良い方は、流れを察することが出来てしまう。
桔梗屋のセリフ
P30
「自分より秀でた女房を持つ、というのも善し悪しや。ともに生きる不幸よりも、離れて生きる不幸を、惣次はんは選びはった」
智蔵のセリフ
P88
「人形浄瑠璃を見せたんは、幸に人形遣いになってもらおう、と思うたがためだす」
幸のセリフ
P289
「店主不在のため、代わりに女房の私からお願いを申し上げます」
(これが今回のクライマックスシーン、亭主不在でも、決断力を見せる幸…しかも、呉服仲間全員の前で)
【ネット上の紹介】
江戸時代中期、長く続いた不況を脱し、景気にも明るい兆しが見え始めた。大坂天満の呉服商、五鈴屋でも、五代目店主の惣次とその女房幸が、力を合わせて順調に商いを広げていた。だが、徐々に幸の商才を疎むようになった惣次は、ある事件をきっかけに著しく誇りを傷つけられ、店主の地位を放り出して姿を消す。二度と戻らない、という惣次の決意を知ったお家さんの富久は、意外な決断を下す。果たしてその決断は五鈴屋を、そして幸を、どのような運命へと誘うのか。大人気シリーズ第四弾!