堤卓の弁理士試験情報

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2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 意匠権の侵害

2024-04-12 07:25:59 | Weblog
2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 意匠権の侵害


問題


 甲は、蓋と本体との両方に特徴のある、「蓋」と「シャンプー容器本体」からなる「蓋つきシャンプー容器」の意匠イについて意匠登録出願をし、意匠イについて意匠登録を受けている。


 次の記載は、適切であるといえるか。


 乙が、甲の意匠イの意匠登録後に、甲の許諾なく、意匠イと同一の意匠の「蓋つきシャンプー容器」に入ったシャンプーの試供品を無料で広く配布した。
 この場合、甲は、乙に対して、意匠権侵害に基づく差止を請求できることがある。


解答


 意匠法2条2項は「この法律で意匠について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む。以下同じ。)又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 意匠に係る建築物の建築、使用、譲渡若しくは貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
三 意匠に係る画像(その画像を表示する機能を有するプログラム等(特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第二条第四項に規定するプログラム等をいう。以下同じ。)を含む。以下この号において同じ。)について行う次のいずれかに該当する行為
イ 意匠に係る画像の作成、使用又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出(提供のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
ロ 意匠に係る画像を記録した記録媒体又は内蔵する機器(以下「画像記録媒体等」という。)の譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」と規定している。


 意匠法2条2項の「譲渡」は、有償であると無償であるとを問わない。


 甲の登録意匠イと同一の意匠の「蓋つきシャンプー容器」に入ったシャンプーの試供品を無料で広く配布する行為は、意匠法2条2項1号の「譲渡」に該当し、甲の意匠権の侵害を構成する。
 甲は、乙に対し、差止請求をすることができる(意37条1項)。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 補償金請求権

2024-04-12 07:20:07 | Weblog
2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 補償金請求権


問題


 甲は、蓋と本体との両方に特徴のある、「蓋」と「シャンプー容器本体」からなる「蓋つきシャンプー容器」の意匠イについて意匠登録出願をし、意匠イについて意匠登録を受けている。


 次の記載は、適切であるといえるか。


 甲の意匠イの意匠登録出願後かつ登録前に、乙が、意匠イと同一の意匠の「蓋つきシャンプー容器」を業として製造した。
 この場合、甲は、乙に対して、意匠登録前の業としての製造について補償金の支払いを請求できることがある。


解答


 通常の意匠登録出願については、補償金請求権は発生しない。


 しかし、国際意匠登録出願であるときは、補償金請求権が発生する。
 意匠法60条の12第1項は「国際意匠登録出願の出願人は、国際公表があつた後に国際意匠登録出願に係る意匠を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後意匠権の設定の登録前に業としてその国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対し、その国際意匠登録出願に係る意匠が登録意匠である場合にその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠であることを知つて意匠権の設定の登録前に業としてその国際公表がされた国際意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠を実施した者に対しては、同様とする。」と規定している。


 甲の意匠登録出願が国際意匠登録出願であるときは、意匠法60条の12第1項により、甲は、乙に対し補償金請求権を行使することができる場合がある。
 登録意匠に係る物品「蓋つきシャンプー容器」を「製造」する行為も、登録意匠の実施に該当する(意2条2項1号)。
 国際意匠登録出願を考慮しなければ、本問は誤りとなるが、国際意匠登録出願を考慮すると、本問は正しいといえる。


 よって、本問の記載は、適切である。





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2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 先願

2024-04-12 07:12:35 | Weblog
2024年4月12日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 先願


問題


 甲が意匠イについて、令和元年10月1日にハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく我が国を指定締約国とする国際出願Aをし、同年10月7日を国際登録の日として国際登録され、令和2年4月7日に国際公表された。
 一方、乙が、令和元年10月3日に意匠ロについて意匠登録出願Bをした。
 意匠イと意匠ロとが類似する場合、甲の国際出願Aに基づく国際意匠登録出願は、我が国で、意匠ロに係る意匠登録出願Bを引用され、意匠法第9条第1項(先願)を理由として拒絶されることはない。


解答


 意匠法60条の6第1項は「第六十条の六 日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて、その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条(3)(a)の規定による公表(以下「国際公表」という。)がされたものは、経済産業省令で定めるところにより、ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日にされた意匠登録出願とみなす。」と規定している。


 甲の国際意匠登録出願の出願日は、国際登録の日である令和元年10月7日である。
 乙の意匠登録出願Bの出願日は、令和元年10月3日である。
 甲の国際意匠登録出願が、乙の意匠登録出願Bの後願である。
 国際意匠登録出願に係る意匠イは、意匠登録出願Bに係る意匠ロに類似している。
 乙の意匠登録出願Bについて先願の地位があるときは、甲の国際意匠登録出願に係る意匠イは、乙の意匠登録出願Bを引用して意9条1項違反であるとして拒絶される(意17条1号)。


 よって、本問の記載は、不適切である。





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