治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

医療はなぜ発達障害を治さないのか? ブルーさんの連載に教えてもらったこと  その1

2023-12-03 08:21:46 | 日記
さて、『発達障害治療革命! 脳神経内科医からの提言』を出すにあたり、読者のブルーさんが「今回はハッタツ有事は起こるのかなあ?」という疑問を抱き、連載をしてくれました。
何しろアンチ(治せない医療とそれに洗脳されて治らないと思い込んでいる人たち)がトンデモトンデモと呼んでいた花風社のやっていることを
精神科医よりは解剖学的にみる習慣のある脳神経内科医の先生が
「花風社がやっていることこそ人を救う!」と賛同してくださり一緒にお仕事をすることになったからです。

これまで、治す力のあるおっさんず(花風社の著者)を「医者ではない」というつまらん理由でさげすんできた人々。なのに今はどうやら精神科医より格上らしい「脳神経内科医」の先生が「花風社こそ国際水準なのだ」と絶賛してくださっているからです。

これはハッタツ有事が起きそうだ、ということでブルーさんが連載してくださり、その最終回がこちら。



この連載自体がとても楽しかったし、私には気づいていないことをブルーさんがたくさん教えてくれてとっても勉強になったのですが、この最終回がもう、すごかったのですね。

どうすごいかというと、私が見逃していたことが多かった。
ので、数日考えて、お返事代わりに記事を書くことにしました。

まずなんといっても衝撃的だったのは、医クラが「機序を理解していない」という問題。
引用させていただきます。

=====ブルーさん引用

トンデモ=いわゆる標準医療以外のメソッドの中にも機序があります。

例えば、某コメディカルの悪評を買った「私の治った自慢」における頭蓋仙骨療法+自然療法の体験記です。

今だから言えますが、この放送をご覧になっている方々ばかりだけではなく、ズバリ某・コメディカルみたいな人に向けても私はあの体験記を書いたのです。

標準医療以外の世界に、つまり社会保険で守られておらず実力で生き抜かなくてはいけない民間の市場の中で、いかに多くの選択肢と優れた専門家がいるかを描写することを目的としていました。

それは私が仕掛けた、アンチの心理に対する透明な日本刀でした。でも、私はそれを自分で振る必要がありません。治った自慢のお部屋に置いておけばそれで良いのです。するとコメディカルは私の予想通り、自分から吸い寄せられてぶっ刺さりました。

この場合、やはりこのコメディカルも頭蓋仙骨療法というメソッドにばかり反応していました。なんとか否定したいので、頭蓋仙骨療法の死亡事例の論文まで持ってきました。

どんな言説であろうと、どんな論文を持ってこようと良いのですが、私がその時感じたのは「そっち(方法論)に反応するのか・・・」ということです。


=====

★1「硬膜を通じた神経系へのアプローチ」
⇒機序の「機」。人体の仕組み。

★2「周産期の物事はその後の発達に大きく影響を与える」
⇒機序の「序」。発達の順番に関する物事。

=====

いやあ、これはびっくりしました。

やけに単語に反応するなあ、とは思っていたのです。
ウコン、金魚体操、原始反射、恐怖麻痺反射、みたいに。
何か単語を並べてはトンデモトンデモという。

でもそれは「機序を理解していないからだ」とは気づきませんでした。

この機序は社会的な面にも及びます。
だから、「保険に守られていない民間療法で生き残っているということは、支持者がいるのであり、支持者は効果を確かめているからこそ支持しているのだ」ということも見えにくいわけです。

あらゆることを機序から考える習慣と脳みそでやってきた私などから見ると、こういう単語に反応して「なんとか療法はトンデモ!」とやっちゃう人たちって、一種の学習障害じゃないかと思います。

機序みえない障害 みたいな。

それでASDの人、これかなりかぶってますね。だから無駄な資格取得に血道を上げたり、それで受け入れてくれない社会を罵倒したりする。

「保険にカバーされていないのにそれなりに支持されているっていうことは、効き目があるはずだ」という判断ができない。それで「医者」という単語に反応し実は治すことなど考えていないギョーカイ凡医にしがみつく。

みたいなことが起きていたのはこの「機序みえない障害」のせいじゃないかと思います。

それと、資格試験においてはこの「機序みえない障害」の有無を判断するのはとても難しい。

そして医療は成長産業(笑)だったらしい。
そこに公金チューチューをよしとする田舎の価値観と親子そろって怖がり、という要素が重なると

相当数、「機序みえない障害」の人が医療職にまぎれこんでいると思われます。

これじゃあ治らないわ、と思います。

我々は機序で考えているから、たとえばぽっと療育整体が出てきたときには「あ、これは治るわ」ってわかるわけです。



それまでに色々知識を積み重ねてきて、定型の発達がどう起こり、定型ではない人の身体の中で何がそれを阻んでいるかもわかってきたので

ブルーさんのおっしゃるとおり「あらゆるメソッドを活かす」ことができるわけです。

最初に私が持ってた知識は「脳は身体をも司っている」。これだけです。まあ一般人の知識ですよね。

そこで

1 睡眠障害
2 感覚過敏
3 ボディイメージがつかめない
4 季節の変動に弱い

という人たちと生身で対峙して、これは不便そうだと思った。それでききこみを始めたところから花風社の身体アプローチは広がってきたわけです。



そして小田原のおっさんで内臓や関節について知り



メガネ売りの人に原始反射を教えてもらい



愛着障害とその身体に及ぼす影響について神田橋先生や愛甲さんに教えてもらい

松島さんに骨軸や血管について教えてもらい

今度は田中先生が内分泌方面を教えてくれて
謎が解けてしまったのです。
なぜ発達が遅れるのか。

機序が知りたい、と思って出会いがあり
それで知見を積み重ねていった。

それに比べ「機序がみえない障害」の人たちは
もともと私の敵ではなかったな、と思います。

医者は難易度が高いにしろ、リハ職、コメディカルはまあそんなに難易度が高くない。

なり方もわかりやすい。各種養成校も宣伝しているし、そこで学んで資格とって、みたいに。

そういう意味でも「機序みえない障害」の人につきやすい仕事かもしれないです。

私のキャリアパスは違います。

私はもともと翻訳家志望でした。
なんで翻訳家志望だったかっていうと、お日様が好きだからです。長時間労働はかまわないけど、一日中部屋の中にいる生活が続くのはいやだったので、自由業がいいと思ったのですね。
いつかは自由な時間に勤務、を夢見ながら正社員やってました。

本は大好きだったので書店に行き、翻訳物が並んでいるのをみて、「いったいこの本たちはどういう経路で外国からやってきてここに並ぶのだろう」とその機序に興味をもちました。そして著作権エージェントという仕事がこの世にあると知りました。

「どうやったらそこで働けるのだろう」とききこみを始め、そこの社長に会うことができ、採用してもらいました。

この仕事をしている人は当時、日本全国で30人くらいしかいませんでした。PTは世界に60万人、日本に30万人いるらしいですけど、それに比べればまあ、レアな仕事です。逆に言うと、機序のみえない人にはたどりつきようのない仕事ですね。

そしてエージェントとして海外のブックフェアとかに行くと、小さいけど独自の路線で本を出している出版社などをたくさん目にすることになり「出版社ってどうやったら創れるのだろう」とその機序に興味を持ちました。

同じギョーカイの中にいたから調べる方法はいくらでもあり、飲み会に顔を出しているだけで色々なことがわかり、出版社を作れました。

それにひきかえ「機序みえない障害」の医クラは、養成校→試験→実地研修
みたいに敷かれたレールで、ヒエラルキーの中で、ガイドライン(と今は口枷)に縛られて、

ある意味「機序みえない障害」があってもつける仕事だけど

やはり機序がみえないと治せないのです。

だから医療現場には「資格はとれたけど、治せない人」っていうのがあふれているはずであり

これも「病院に行っても治らない」理由の一つであろうし

そういう人はガイドラインを守るのに必死で

私が最初抱いたような志、あの四つの苦しさをなくす方法を見つけたい、みたいなのは思う余裕もないんだろうなと思いました。

やはり医療への過信は捨てた方がよさそうですね。
彼らが治せないものでも治るので。

続く

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