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治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

立ち直った例を見せずに「正しい理解」はありえない

2012-08-25 06:56:55 | 日記
ふだんバンコクから帰国するときには、南シナ海→東シナ海→太平洋
っていう感じのルートを飛ぶけれど
台風を避けるため、大陸側を回るとアナウンスがありました。

台風来てるのか~
講演に影響しなきゃいいけど、と思いました。
私が知っている方でも、遠くからお越しくださる方も結構いらっしゃるし。

まあ基本晴れ女だから大丈夫だろうと思いましたが、
今度の主役はちゅん平。
ちゅん平が雨女だったらどうしよう。ま、大丈夫だろう。

普段と違うルートで長崎あたりから日本列島に入り
「ああ、今佐賀くらいだな」とルートマップを見て思っていました。
九州北部、結構揺れたから
夕方羽田に着くちゅん平の乗る便が揺れないといいなあ、と思いました。

成田に着き、家に帰り
洗濯したり仕事したり。
「羽田に着きました」とちゅん平からメール。
私はジムで汗を流して、ちゅん平も参加する瀧澤さんの快気祝いの席に向かいました。

ちゅん平は元気そうでした。
ちゃんと宴会もマイペースでこなしていた。
落ち着いてるな、と感心しました。

横浜は、以前挫折して帰った土地。
でもそのころのことを、みんなで話できるほど、今のちゅん平は別人。
その横浜で、これほど大きな講演会が開ける日が来るとは、感無量です。

「自閉症について正しい理解を!」ってみんな言うけど(裁判員に関しても、みんな理解がないと思ったみたいね)
じゃあ何が「正しい理解」なのっていうと
ギョーカイ的にも意見統一していないわけで。

アインシュタインでエジソンだけど社会はお味噌扱いして。
障害と犯罪には関係ないけど重い刑には当事者が傷つく。

わけわからん。

この国では、他の療育先進国と違って
「障害者援助が社会全体のためだ」っていう言論を展開しちゃいけないでしょ?
何かに遠慮して。

ちゅん平は自力だけでは立ち直れませんでしたよ。
支援があったから立ち直れたんですよ。それが障害があるということ。
でもその結果時給が数百円上がりましたよ。
佐賀では高給取りらしい。
(元々佐賀は作業所の工賃が高めなんですって。都会が高いわけじゃなかったり、健常者と賃金がリンクしていないようですよ。これも興味深い事実です)

支援者を名乗る人たちって、「社会が弱者を保護すべきだ」っていう自分の思い込みを当事者に押し付けたりすることあるでしょ。

「いいんだよ、そんな一般就労なんて無理しなくても」とか。
二次障害を避けることが人生の目的みたいに
縮小再生産の生き方を是とするよね。

でもね
決めるのは本人ですよ。
本人の人生なんだからね。

私はちゅん平が死にそうになったときも知っていたから
(だから支援組織につないだ)
週に五日作業所に通い始めただけで大満足しましたけど
本人が一般就労したいというのなら、そこに突っ込まないのが周囲の役目だと思いました。

だってねえ
一生時給の差を埋めることはできないでしょ。
だったら口出しする権利ないんじゃないのかね。

ちゅん平くらい立ち直った人は、きっと他にもいっぱいいるんだと思います。
でもなかなか情報が出てこない。

だから今日お越しになる人は貴重な情報をいっぱい持って帰ってください。

「支援があれば立ち直れる」って言う例を、もっと社会に見せていかないと
って私は思うんですけど。
それはきっと、司法の場にだっていい影響を与えるはずですよ。

この本も今日、初売りです。
どうぞお楽しみください。
泣きます。
初めて書いてくれた解離していたときの話。
引きこもりから立ち直る話。シューカツ。恋愛。
巻末の主治医の先生インタビューも必見です。
「なぜ立ち直れたか」おききしました。



当日券はカウントダウンに入っているようです。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
講演会とても良かったです。 (nonmama)
2012-08-26 09:22:14
本当にめったに聞けないお話しでした!
息子の将来を思い描いて心が軽くなりました~。
ありがとうございました。
新刊本にハンコもいただき嬉しかったです。

来月の栗林先生の講演会も楽しみにしています。



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ありがとうございました! (浅見淳子)
2012-08-27 08:05:42
nonmamaさん、ようこそ。
お越しいただいて、新刊もお買い上げいただき、ありがとうございました。
ちゅん平さんが安定するまでの道は、本当に険しいものでしたが
わかってみればカンタンなことでした。
ちゅん平さんも頑張りましたが、親御さんも本当に頑張られました。
栗林先生の会でもお会いできるのを楽しみにしています。
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