黒姫Time

登山ガイド・自然ガイド「山音」のブログ
黒姫にログハウスを建て、黒姫山を望みマイペースで活動する暮らしを綴ります。

石に戯れ、火山を知る

2017-09-03 20:44:35 | 
まずまずの天気の週末2日間、観光客、登山者で賑わう
上高地で石と戯れ、火山のことを知る研修。

「石から上高地の歴史を物語る」
「火山を理解し、判断し、楽しめるように知識を得る」
をテーマに信州大学の高橋先生とともに歩いてきました。
焼岳もすっきりと。


1日目は石と戯れました。
まずは梓川の河原で上高地の歴史を物語る主要メンバー
にご対面。
花崗岩(ちょっとピンボケですが)
主に奥又白花崗岩と滝谷花崗岩です。


溶結凝灰岩
穂高の岩峰を作っています。
この石に乗れば穂高に登った気になるか・・・・も?(笑)


閃緑斑岩
ジャンダルムの岩


河童橋を渡って岳沢のカール地形を見つつ、梓川の屈曲の
原因を探ります。
河原には巨礫群が・・・


地衣類が付いてわかり難いけれど滝谷花崗岩の大岩が
ここにあります。善六沢の大崩壊で運ばれてきたものと
考えられていて、それによって梓川の流路が変わったと
いうことでした。

次にビジターセンター前を通って穂高安山岩類の露頭を観察。
ちょうど風穴があるところです。
約175万年前に現在の穂高岳とその周辺で巨大な噴火が起き、
大規模は火砕流が発生し、それが固まってできたものです。
巨大噴火で穂高岳周辺は陥没してカルデラができたといいます。


キャンプ場から明神まで歩く歩道の途中で周りの石が黒っぽい
ものから白っぽいものに変わっていくのを見ることができます。
奥又白花崗岩の露頭(約6000万年前の岩石、表銀座の主体を作る)


この変化はカルデラの縁を横切ったから。
下白沢付近から対岸の明神岳方向にひょうたん池のコルがみえます。
このコルの辺りもカルデラの縁。東側がカルデラの外側、西側が内側。
コルを境に岩石が違います。
内側は穂高安山岩類、外側は奥又白花崗岩。
長い期間の中で浸食されて今の形になっています。


そして明神池側の道を歩いているとカルデラの底を見ること
ができます。見上げる岩壁は泥岩。この上に穂高安山岩類が
乗っている感じです。



2日目は火山。
火山についての基礎知識を学んでからフィールドへ。
上高地で火山といえば焼岳。


溶岩ドームで大正池側に続く斜面は溶岩ドームの崩落でできた
火砕流で出来ています。その後長い期間の浸食からの土石流で
梓川が堰き止められで大正池ができ、山麓扇状地ができています。


最後にウェストンレリーフへ。
このレリーフが埋め込まれている岩盤は滝谷花崗閃緑岩。
約140万年前の岩石で世界一若い花崗岩だそうです。
140万年前以降に北アルプスが急激に隆起したことを物語る
ものです。
地学的な年代の捉え方はなかなか難しい感覚ですね。

興味深い研修内容でした!
しっかり復習しておかねば。