しっとう?岩田亜矢那

神戸で活躍するタレント「あやにゃ」こと岩田亜矢那さんを勝手に応援する非公認ファンサイトですか?

「会社葬送」 江波戸哲夫著

2006年12月04日 00時01分02秒 | 読書感想文
SSやんのリクエストにお応えして久々にブックレビューである。

あの「日本が震えた一ヶ月」、
昨日の事のように思い出される。
日本が世界大恐慌への引き金を引きかけた「暗黒の11月」に突入する前日
深夜カーラジオから
「三洋証券の発行する劣後ローンのジャンプを生命保険会社各社が拒否した」
とのニュースが飛び込んできて
「こりゃ、三洋証券いってもたな。週明けとんでもないことになるぞ!」
とやたら身体が震えた事を覚えている。

その「日本が震えた一ヶ月」の最終局面において訪れたクライマックス
「山一證券破綻」を描いた小説・ドキュメンタリーを
最近ちょくちょく見かけるがこの
  
  「会社葬送」江波戸哲夫著 角川文庫

は、社内から、それも総務部長の立場から描いたものである所が一味違う。

97年の11月、山一證券は経営破綻し自主廃業するのだが
「自主廃業」を宣言した以上、
会社更生法適用や和議申請(当時)による法的な再生は想定しない。
さりとて、実はそれだけでは、勝手に会社は消滅しないのである。

清算等の方法で会社を解散させなればならないのだが
その為に必ず通らなければならないのが、株主総会
その「山一證券 最後の株主総会」
への道を描いたのが、このセミ・ドキュメンタリー小説である。

大学時代に会社法をかじった者としては非常に興味深く
一気に読み進んでしまった。

この小説を読んで改めて感じたのは
銀行、特にメガバンクがいざとなると如何に冷淡で身勝手であるかという事。
バブルが発生するまでは、メインバンクとしてそれなりに企業の行く末に責任を負っていたものだが、、、
何が、彼らを単なる「金貸し」に落ちぶれさせてしまったのか?

公的資金を完済し、経営の自由度を増したメガバンクだが
彼らが日本経済を背負って立つ時代はもう二度とやってこないのかも知れない。

かつては四大証券の一角を占めた
「山一證券」も今や影も形も残っていない。