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桜と絵本と豆乳と

坦々のありかはここでした

2011年08月27日 | 雑記帳
 新潮社のPR誌である『波』が500号となった。
 それを記念して、表紙に掲載している作家の筆蹟が「文士たちの筆蹟」としてギャラリーっぽく特集されてある。

 これがなかなかいい。
 記念すべき一号は、あの川端康成だそうである。
 その言葉は「風雨」。

 それ以外にも超のつく有名作家が並んでおり、さすが老舗の出版社であることを感ずる。
 自分で考えた言葉あり、何か好きな文章の一節あり、それぞれが独特の筆遣いで印象深い作品に仕上げている。

 筆蹟を表せなければ意味がないかもしれないが、その言葉(文)だけでも味わい深いので、特に印象に残るものをここにメモしておく。

 歴史とはすべて後悔の記録である(石川達三)

 食べてください。この料理には毒を入れました(筒井康隆)

 一日即一生(城山三郎)

 ももくりさんねん かきはちねん 人は百でも成りかねる(深沢七郎)

 作家の個性が光る。

 「坦々」と書いたのは隆慶一郎。
 これは中原中也の『寒い夜の自画像』が出典だ。

 陽気で、坦々として、而も己を売らないことをと、わが魂の願ふことであつた!

 一昨日、「坦々」で何か湧いたイメージはこれだったか。
 恥ずかしながら、「中原中也研究」が卒論でした。

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