すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

新聞連載に立ち止まる

2023年02月21日 | 雑記帳
 朝刊の日曜連載「明日も花まるっ!」で久々に(笑)内館牧子さんが良いことを書いていた。「政略結婚の深意」と題したその文章は、作家永井路子の著書『山霧 毛利元就の妻』に描かれている戦国時代大名でよくあった家同士の結びつきを取り上げている。そこにあるのは決して「負」や「暗」だけではなかったとする。

・・・・・周囲の人たちをステレオタイプで、つまり固定観念で見てはならない。・・・(略)・・・世の固定観念では測れない「陽」の一面が、あらゆる事象にある。当事者は周囲が期待するほど淋しくもなく暗くもなく、むしろ幸せに思ったり、力が湧く場合さえあるのだ。・・・・・

 なるほど。60代夫婦の会話に時々登場する巷の噂話にもそうした要素がいっぱい詰まっているとギクリとする。子ども相手の仕事をしていた時に、家庭環境に絡んだことで、その子を不幸と決めつけたりしたことがなかったか。気持ちとはそう単純でないと飲み込めるようになったのは、結構キャリアを踏んでからだ。



 さて、月曜連載の鎌田實さんの「健康長寿県秋田という夢」も含蓄があった。もの忘れが気になるお年頃にはぴったりの話題。「『忘れる力』鍛えよう」という、これも日常感覚からすれば逆説的な提言である。働きアリの例で有名な「パレートの法則」で、全体の中の2割の重要性を「記憶」にも当てはめているのだ。

・・・人生の膨大な記憶も大切なのは2割程度で、・・・(略)・・・8割を上手に忘れられれば、埋もれていた大事な2割を確認できるのです。


 「幸せを心の側面から探すことを忘れ、軽く体を動かして…」や「つらい出来事に出会ったときも、向き合っているばかりいるのではなく…」という具体例も挙げている。長いスパンで将来を想うことは正直まだあるが、目の前の些細な出来事、周囲にある嬉しさ懐かしさを愛でてみる日々、2割はきっとそこにある。


コメントを投稿