スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

別府記念&第二部定理三八系

2008-08-11 18:52:00 | 競輪
 別府記念は山崎選手が優勝候補というのが大方の見方ではなかったかと思いますが,よもやの二次予選敗退。一転して地元の九州勢が中心となって迎えたのが今日の決勝でした。
 意外にも出渋りとなり再発走。今度は小倉選手がSを取り,五十嵐選手が続きました。道中で小倉選手が下がって五十嵐選手の前受け。西田選手が4番手で,菅原選手が5番手。
 残り2周のホームで五十嵐選手が誘導との車間を開け,バックから菅原選手が発進。五十嵐選手も突っ張ったので先行争いとなりましたが,菅原選手がホームで叩ききりました。ここで佐藤選手が池尻選手を弾いて4番手を確保。五十嵐選手は内をずるずると後退したので動く選手がなく,このままで最後の直線へ。直線入口から踏み出した井上選手が抜け出して優勝。マークの小野選手が2着で,佐藤選手を外から抜いた小倉選手が3着でした。
 優勝した長崎の井上昌己選手は1月の競輪祭以来のグレードレース制覇で,記念競輪は昨年10月の千葉記念以来となる3勝目。別府記念は昨年も優勝していて連覇です。たぶん二段駆けも視野に入れていたと思いますが,五十嵐選手の突っ張りを菅原選手が叩ききったので展開が単調になったこと,佐藤選手が入って早めに発進しにくくなったこと,小野選手がギアを上げていたので直線勝負では切れ味が鈍ったことなど,ここは運も多分に味方してくれた印象です。

 第二部定理三八が証明されたことにより,少なくともすべての物体corpusに共通であるような事柄については,どんな人間の精神mens humanaのうちにも十全な観念idea adaequataがあるということは理解できました。しかし,人間が正しい前提から正しい結論を導くことができるということの,いい換えれば,人間の精神のうちにある十全な観念を原因causaとして別の十全な観念が必然的にnecessario生じるということの,現実的な意味を考えようとするならば,これでもまだ不十分ではあるといえるかもしれません。なぜなら,確かにすべての物体に共通であるような事柄というのは,人間の精神のうちに十全な観念としてあるでしょうが,しかしすべての物体に共通の事柄があるということについては,この定理Propositioのうちにはそれ自体で含まれているとはいえないからです。そこでこの部分を解消するためにスピノザが示しているのが,第二部定理三八系であるといえると思います。すなわちこの系Corollariumは,第二部定理三八に現実的な意味を含ませる目的があるといえます。
 「この帰結として,すべての人間に共通のいくつかの観念あるいは概念が存することになる」。
 スピノザはすべての物体に共通の要素として,第二部自然学①補助定理二(岩波文庫版上巻111ページ)というのをあげています。この補助定理Lemmaはかつて取り上げたのでここではこれ以上の説明はしません。ただ,こうした事柄の観念が人間の精神のうちで十全な観念としてあるということは,第二部定理三八から直接的に帰結します。つまり,人間の精神のうちに何らかの十全な観念があるということに関しては,これで現実的にも十分に証明されたといえると思います。
コメント
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